出張DASH村

山形県鶴岡市

鶴岡市は、全国有数の稲作地帯である庄内平野の南部に位置し、西側は日本海側に面する人口約13万人の都市。海水浴場が点在する沿岸部では、加茂水族館や、海を眺める湯野浜温泉が人気。
さらに東部には、出羽三山神社が立つ羽黒山、弥陀ケ原の湿原が美しい日本百名山にも登録されている月山、奥宮である湯殿山がある。他にも、砂丘メロンやだだちゃ豆などが有名。

お世話になった方

伊藤 和利さん (35歳)

250年ほど続く農家の11代目。19歳の時に、奥さんと結婚をし、3人のお子さんがいる。
高校卒業後、車が好きだったため、車の整備士として働いていたが、奥さんの『農家をやるんだったら、私も手伝う』との言葉をきっかけに、家を継ぐことを決意した。
父母と一緒に農業を行っており、ねぎ専門部会の若手ホープ。夏はメロン栽培もしている。

伊藤 奈美さん (35歳)

和利さんとは地元が一緒の同級生。
一緒に農業をやりながらも、育児も並行して行っている万能奥さん。

齋藤 政子さん (61歳)

地元の料理自慢のお母さん。
鶴岡での軟白ねぎ栽培を発案した、ねぎ専門前部長(齋藤和則さん)の奥さん。
軟白ねぎの可能性をより広げるため、様々な料理を作っている。
政子さんが一番オススメするのは、生のネギサラダ。毎年最初に出来たネギを、生サラダにして食べ今年の出来をみるという。

軟白ねぎ

一般的には軟白栽培されたネギを『軟白ねぎ』と言う。軟白栽培とは、土の代わりに被覆資材で葉の部分を覆い、日光を遮断して軟白部分をつくる方法。土を寄せるネギのように、幅を広くとる必要もないため、単位面積あたりの栽植本数を多くすることができる。
さらに、土寄せによる長ネギよりも軟白部分が長いので、高単価で取引される傾向にある。

辛み成分『アリシン』

辛み成分のアリシンは、ネギを切った際、空気中から鼻に入り血管が拡張させ、身体の抵抗力を高める働きを持っている。非常に強力な抗菌・殺菌作用があり、病気への抵抗力を高める働きをする。
一般的にネギは水にさらすと、辛みが抜けると思う人が多いが、アリシン自体も水に溶け出してなくなってしまい、糖分、栄養素も水溶性のため水に溶け出してしまうのでもったいない。
そのかわり、数時間空気にさらすと、アリシンの性質で空気に分解され辛み成分が抜けるので、とても甘く感じる。

甘みの素『フルクタン』

ネギの青い葉の部分を切ってでてくる、ねばねばした成分は"フルクタン"という成分。
複合多糖類の食物繊維の1つで、長ネギの甘み成分の素。しかも凍結しないため、気温が氷点下になってもネギが凍ることはない。インフルエンザウィルスの侵入や増加を抑える働きをし、免疫力を高める作用を持っている。

雪中軟白ねぎ

特徴1 黒い遮光シートで真っ白な部分を作る

ネギは、生長すると地面から出て陽に当たった部分が青くなってしまう。そこで、白い部分を長く増やすため、一般的なネギは、ネギの生長に合わせて土を被せる『土寄せ』をし、日光に当てないように栽培している。雪中軟白ねぎは土寄せはせず、黒いシートを使って遮光することで、陽のあたらない土の中と同じ状態にし、育てる方法。
さらに、一般的にネギは、収穫まで7回ほど土寄せを行いやっと40センチほど遮光出来るが、黒い遮光シートは一回巻くだけで、幅50センチすっぽり覆い隠せることができる。そのため、他のネギよりも約10センチほど白い部分ができる。



特徴2 一般的なネギよりも軟らかい!

土寄せをして育てるネギは、土の圧力でネギにストレスがかかり実が硬くなるが、軟白ねぎはシートの中で圧力を受けずのびのびと育つため、軟らかくなるという。

特徴3 雪国ならではの寒さが生み出す甘み

山形県鶴岡市の12~1月は平均気温が約2度と低く、雪が降り積もることが多い。
そのため、雪に囲まれたハウスの中で育つネギは、凍って枯れてしまわないよう、自らの身を守るため、糖分を作り出し溜め込むため、より甘みを感じることのできるネギができる。

収穫作業

収穫は一列ごとに遮光シートを外しながら、手で収穫。土寄せしてない分、引き抜いても、泥がネギ全体に付着しておらず、汚れることが少ないのが利点。
ただ、軟らかい上に土寄せをしていないので、遮光シートを外すと倒れやすく、収穫する際は、葉が折れたり傷つけないよう繊細に扱わなければならない。
和利さんのハウスには、1ハウス約7000本植わっているため、収穫もなかなか大変である。

選別作業

収穫したネギを作業所に運び終わったら、出荷時の長さの72センチに合わせて、根っこや葉を切り落とす。手である程度いらない葉っぱを落としたら、エアー(高圧の空気)で、いらない外側の皮をも剥いでいく。これは爪でネギを引っ掛けない為。
サイズごとに分けたら、塩ビパイプを改良した筒にネギを入れ、専用の袋に詰める。
こうする事で、折れずに袋に詰められる。

都内で雪中軟白ねぎが購入できる主な場所

  • 西武池袋本店 地下2階 ころくや
    問合せ:03-3981-0111(大代表)※販売期間は要確認
  • 新宿高島屋 地下1階 サンフレッシュ売場(2017年は2月中まで)

調理

ネギの天ぷら

  1. 食感は残して火を通りやすくするため、軟白ねぎを斜め太切りに切る。
  2. 180度の油で、1~2分ほど揚げる。
  3. からっと揚がったら、外はカリッ中はジュワッの軟白ねぎの天ぷらの完成。
    お好みで塩をつけて食べる。

ねぎま

  1. 鶏もも肉と軟白ねぎ(白い部分と葉の部分も)を約4cmほどの大きさに切る。
  2. 鶏もも肉とネギを交互に竹串に刺していく。
  3. 七輪に2で作ったねぎまを並べ、肉に火が通るようにじっくり焼いていく。
  4. 砂糖・醤油・みりん・酒で作った特製ダレを、ねぎまに重ねて塗っていき、焦げ目がついてきたら完成。

ねぎしゃぶ

  1. ネギは細く千切りにし、木綿豆腐は食べやすい大きさに切る。
  2. 昆布と鰹のダシを入れた土鍋に、豚肉を入れて火が通ったら、山盛りのネギを入れてさっとくぐらせ(およそ5秒くらい)、ポン酢で食べる。
    ※山形県産の『米の娘ぶた』:お米とホエーを食べて、柔らかく育つ。

ネギの生サラダ

  1. 輪切りに軟白ねぎを薄く切る。(水にさらさない。)
  2. 人参・ワカメを入れたら、更に酢・油・塩こしょうで作った特製ドレッシングで混ぜ合わせて完成。

ネギのあんかけ焼きそば

  1. 軟白ねぎは筒切りに多めに、イカじゃ薄い短冊型に、椎茸は・人参は食べやすい大きさに切る。
  2. フライパンにイカ・椎茸・人参を入れて炒める。
  3. 鶏ガラスープ・醤油・みりん・オイスターソースを加え軽く混ぜたら、最後にネギを入れて、水溶き片栗粉をいれ、とろみをつける。
  4. よくほぐした中華麺を両面に焦げ目が少しつくまで、弱火で焼く。
  5. 盛り付けのお皿に、中華麺をのせ、あんをかけたら完成。