出張DASH村

神奈川県平塚市

平塚市は、県の中央南部に位置する人口約26万人の都市。丹沢・大山や富士・箱根連山を遠望
できる四季温和な気候である。毎年夏には「湘南ひらつか七夕まつり」や「湘南ひらつか花火大会」が開催され、多くの人で賑わう。また、米の生産高は県下トップクラスであり、昨年平塚から誕生したブランド米「はるみ」は、2016年度米の食味ランキングで最高評価の特Aを受賞した。

お世話になった方

吉川 貴博さん(32歳)

1971年創業「(株)湘南きゅうり園」の3代目。大学時代にバトミントンサークルの後輩だった
奥さんと出会い、結婚。大学卒業後はすぐに家を継がず、種苗メーカーに勤めていたが、2010年に農業アカデミーの研修に参加し、平塚のきゅうりを広めたいという思いから継ぐことを決意。今では様々な特徴のある7種類のきゅうりを栽培し、畑の規模は、2400坪。

吉川 奈穂さん(29歳)

貴博さんが農業を始める前は洋菓子メーカーに勤めていた。2人のお子さんの育児をしながら、収穫や出荷のお手伝いをしている。

吉川 八千代さん(65歳)

お話し上手なお母さん。普段はきゅうりの収穫や出荷を手伝い、吉川さんをお父さんと一緒に支えている。

きゅうり

平塚市のきゅうり

平塚市のきゅうり栽培の歴史は古く、100年以上前から続いている。平塚市はもともと神奈川県内でもトップクラスの米どころであり、その理由は、豊富な山水、日当たり、平らな土地、と米の栽培に最適な条件が揃っている。きゅうりはその条件にピッタリだったため、質のいいものがとれて産地として、栄えた。

吉川さんのきゅうり

特徴(1)まっすぐなきゅうり

きゅうりは、生育する過程で葉っぱや茎に当たってしまうと、すぐ曲がってしまう。
しかし、吉川さんのきゅうりはこまめに、余分な葉を取り除いたり管理が行き届いているため、曲がっているものが少なく、まっすぐなものが多い。

特徴(2)ミネラルたっぷりの水で育つ

丹沢山地の一部、大山から湧き出すミネラル豊富な地下水を使って育てるため、光合成が活発になり、みずみずしくて甘いきゅうりが育つ。

吉川さんの栽培するきゅうりについて

相模半白節成

平塚市では明治32年頃からきゅうりの栽培が始まり。
その頃、平塚市一帯で主に栽培されていたのが相模半白節成。
実の半分が白く、黒くて大きなイボがあるのが特徴。当時、きゅうりは漬物にして食べるのが一般的であり、相模半白は肉厚で水分が少ないため漬物に向いていた。だが、昭和39年の東京オリンピックを境にきゅうりを生で食べるサラダ文化が海外から日本に入り、一般的な青きゅうりに比べ、彩りが悪いことからサラダに向かないと栽培されなくなってしまった。
しかし、吉川さんが相模半白の魅力を伝えたいと、神奈川県の農業技術センターに研究用で保管されていた種をわけてもらい、2010年に復活させた。
それ以来、自分自身で自家採種しながら、毎年栽培している。

一般的なきゅうり(兼備2号)

吉川さんがメインで栽培しているきゅうり。複数の病気に強いことからその名が付いた新品種。

フリーダム

トゲが全くない、イボなしのきゅうり。トゲが無いため水分が逃げにくく、互いに傷つけ合うことも無いため、鮮度がよく、日持ちする。サラダに向いている。
またフリーダムを使って、星型やハート型のきゅうりも作っており、結婚式場などに出荷している。

四葉

中国生まれの品種で、イボが大きく、シワが多い。葉が4枚付いたら実がなることから名前が付いた。香り豊かで歯切れが良く、漬物や中華系の炒め物に向いている。

ガーキン

最大でも7~8cmほどまでにしか育たないきゅうり。瓶詰めのピクルスによく利用される。

うぐいす

一般的なきゅうりと比べて皮が薄く、青臭みが少ないと言われているため、サラダに最適。
名前の通りウグイス色(黄緑)をしている。きゅうり嫌いな子供でも食べられる、と人気。

純白

皮が白く、テリがあるのが特徴で、うぐいすと同じで青臭みが少ないと言われている。
うぐいすと同じく、サラダに最適。品種は『ホワイティ25』

収穫作業

収穫は刃が付いた『きゅうり爪』を親指につけて行う。刃の裏側にはクッションが付いていて、きゅうりに触れても傷が付かないようになっている。きゅうりのヘタに近い部分には、トゲが少ないため、その部分を持って5mmほどツルを残して切る。
そうすることで、トゲのある部分には触れずに収穫することができ、鮮度が良いまま出荷できる。

選別作業

収穫し終わったきゅうりを作業所に運び終わったら、まず1本ずつ重さを測って、105g以上をS~Lのサイズに分け、その後、吉川さんお手製の定規で曲がり具合を測り、A~Cのランク別に分けられ箱詰め。全て詰め終わったら水分が飛ばないようビニールで覆う。
東京に近い立地のため、輸送時間がかからず、朝収穫されたきゅうりは、その日の夕方に市場に出され、翌朝には店頭に並ぶ。

調理

きゅうりの肉巻きフライ【うぐいす】

  1. きゅうりの両端を切り落とし、縦に4等分に切る。
  2. 豚バラ肉を塩・コショウで味付けする。
  3. 肉が剥がれないようにきゅうりに片栗粉をまぶし、豚バラ肉を巻きつける。
  4. 小麦粉、卵、パン粉の順でまぶして衣をつける。
  5. 170℃の油で3分揚げる。
  6. こんがりと色が付いたら、油からすくい出し完成。

七色きゅうりの冷やし中華【7種類全て】

  1. 全てのきゅうりの両端を切り落とし、普通のきゅうりとうぐいすは斜め薄切りにして千切りに、フリーダムと純白は輪切りスライス、相模半白は半分に切ってたてスライス、四葉はスライサーで千切り、ガーキンは8等分にする。
  2. ハムは千切り、卵は薄く焼いて錦糸卵にする。
  3. 中華麺を茹でて水で冷やす。
  4. 麺と切ったきゅうりを皿に盛り付け、醤油、酢、砂糖、鶏がらスープの素、ごま油、水で作ったタレをかけて完成。

オイスターソース炒め【四葉】

  1. きゅうりを塩で板ずりしてトゲを取り、水で塩を洗い落とす。
  2. きゅうりを乱切りにし、豚ロースを一口大に切り、生姜とニンニクをみじん切りにする。
  3. 水分を拭き取ったきゅうりを油で素揚げし、一度取り出す。
  4. フライパンにごま油を熱し、生姜とニンニクを炒める。
  5. 豚ロースを入れて色が変わったら、オイスターソース、酒、醤油を加える。
  6. 全体的に混ざったら素揚げしたきゅうりを入れ、水溶き片栗粉を加えてとろみがついたら完成。