2012年1月24日放送

箱根旧街道にたたずむ甘酒茶屋。昔から変わらず夜明けと共に店を開ける人がいます。
甘酒職人の13代目、山本聡(やまもと さとし)さん。
甘酒を作り続けて400年。砂糖を使わず「甘み」を出す山本家の秘伝。

「麹を発酵させ、麹の力を借り甘みを出しております」

まだ暗いうちから丹念に米と麹を混ぜる。旅立ちが早い旅人を早朝からもてなしていた
江戸時代と変わらない、こだわりの仕込み作業です。
甘みを生みだすために、じっくりと寝かせ、昔からの味が守られているかを、
先代の父の舌が確認。
難所・箱根峠を越える旅人にとって、最高の安らぎであり栄養源であった甘酒を、
400年前のままの味で今に伝えたい。
山本さんはそんな想いを、
この言葉に込めています。

「初心を忘るべからず」って言葉が好きです。

「初心を忘るべからず」

世阿弥 (「風姿花伝」より)

「初心を忘るべからず」「物事を始めた時の、新鮮な心のこめ方を忘れてはいけない」
という能役者・世阿弥(ぜあみ)の言葉。

「昔と変わらない400年前と同じ甘酒をお出しできるのが、「私の誇り」です」

それが歴史を越えて生き続ける、職人のこだわりなのです