2012年3月13日放送

伝統から生まれた斬新なフォルム。
様式美を守りつつ、新たな作品を意欲的に生み出す職人がいます。
江戸切子職人、三代秀石(さんだい しゅうせき)堀口徹(ほりぐち とおる)さん。
堀口さんは切子職人の銘、三代秀石を4年前に襲名。
先代からは、その時に作業しているひとつ前の工程を大切にしろと
叩き込まれたそうです。

「その工程その工程でずれたところっていうのを、
最後で帳尻合わそうって思ったところで
無理が来るんですよね」

江戸切子を作るには、大きく5つの工程があります。
その一つ一つ、手を抜かない事が、完成度を高めるのです。
堀口さんは、いつも、こんな言葉を心に留めて作業をしています。

「些細なことも疎(おろそ)かにしない」

「些細なことも疎かにしない」

(「論語と算盤」より)澁澤榮一

「些細なことも疎(おろそ)かにしない」
「些事の微に至るまでも、これを閑却するは宜しくない」
実業家・澁澤榮一(しぶさわ えいいち)の言葉。

「ま、このぐらいはいいかなとか、って思いがちな部分ってすごく多いんですよね。
でもやはりそういうところまで拘り抜いて実行してみる、で、そうすると
だいぶ違うんですよね」

細部まで手を抜かない、こだわりの作業。それが江戸切子の伝統を繋ぐ力となり、
美しく斬新な、現代の江戸切子を生み出します。