2012年3月27日放送

銭湯の壁一面に絶景を描く人がいます。
銭湯絵師・中島盛夫(なかじま もりお)さん。
壁一面に描くのは、雄大な富士の頂(いただき)。
ローラーや筆を駆使して、色を塗り重ね、美しい風景を表現していきます。

「露天風呂に入った気分でゆったりした気持ちで風呂に入ってもらう。
自然な自然な感じの絵を、いかに富士山らしくリアルに描くかっていう
ことなんです」

19歳で飛び込んだこの世界。寝る間も惜しんで腕を磨いてきました
しかし銭湯の減少に伴い、その技を受け継ぐのは今では日本にわずか数人。
「伝統を守りたい」。そんな中島さんの支えになっている言葉、それは・・・

「『この道よりわれを生かす道なしこの道を歩く』って言葉が好きですね」

「この道よりわれを生かす道なしこの道を歩く」

武者小路実篤

「この道よりわれを生かす道なしこの道を歩く」
自分を信じて進むことの素晴らしさを説いた
小説家・武者小路実篤(むしゃのこうじ さねあつ)の言葉。

「自分の好きな仕事をしているから輝けるんじゃないかしら。
結構いい文化でしょ?日本のっていうか、それを継いでいけるっていうのは
誇りに思うし、いい仕事だなと思ってますね」

中島さんは、伝統を守り抜くため、この道を歩き続けます。