2012年9月18日放送

毛先に職人の心意気を込める人がいます。
江戸筆師 佐久間末男(さくま まつお)さん
昔からの方法で筆を作る数少ない江戸の筆職人。
全ての工程を一人の人間が責任を持って作るのが江戸筆の特徴なのです。

「筆というのは、一に形、二に調子。
絶対筆が割れない事、纏まる事、毛が抜けない事」

筆の良しあしを決める作業が「さらいだし」。
良くない毛は躊躇なく捨てる。そこに妥協はありません。

「材料の選別だけはキチンとやらないとダメかもしれない」

この姿勢がお客さんとの信頼関係を築いてきました。
そんな佐久間さんがいつも心に思っている言葉・・・、それは、・・・

「覆水盆に返らず」

復縁を迫る妻に、こぼした盆の水は元に戻らないと答えた、
元夫の逸話からの言葉。

お客さんの信頼を一瞬たりともなくすまいと心に誓い
筆先を美しく整えていく佐久間さん。

「満足したらおしまいでしょ。いいもの作りたいのは当たり前じゃない」

職人の心意気と誇りを込めて、
今日も江戸の香りが漂う筆を作り続けます。