2013年3月5日放送

伸びやかで 繊細な音色を奏でる…。

バイオリン職人、田中眞次(たなか しんじ)さん
一台のバイオリンを仕上げるまで、かける時間は 半年あまり…。

「バイオリンとか、ビオラとかチェロは、表板にアーチを持っています。そのアーチの高さとか形状によって、その楽器の音響的な特質が全く異なってしまう。最後のひと削り、”もう少し薄くしたほうがいいのかな。いや、でもこれ以上やっちゃいけないのかな”という判断が、いつも迷っています。」

「モノ造りがしたい!」
30歳を過ぎ、それだけの理由で飛び込んだ厳しい職人の世界。
続けてきたのは…。

「ただ楽しいから。作ってるのが楽しいから。」

美しい音色を奏でるバイオリンを作りながら思う言葉。それは…

『為すべきは人にあり、成るべきは天にあり』

全力を尽くして取り組むことの大切さを説く
江戸時代に医学の新時代を築いた「杉田玄白」の言葉です。

「バイオリンづくりってのは、僕が思うに、科学で解明できる部分なんてないだろうし、未知の部分が多いと思う。自分は、自分の作業を、まじめに惜しまずに進めるだけ。100年、200年後にもこの楽器使いたいというような人がたくさん出るような楽器づくりを目指しています。」