2014年4月15日放送

力士の髷を結い、土俵に送る…
床山 西村安士さん。
名門・出羽海部屋に所属し、48年。
西村さんは巧みな技術で、日々、力士の髪を結いあげてきました。

「(力士によって)頭の形も違うし、髪質も違うし。髪の毛は生き物だからね。
だから今日上手くいっても、明日上手くいくとは限らないんですよ。
特に大銀杏(おおいちょう)は、ちょっとのずれで、形が変わったり髪のクセが出たりするから。それとの戦いみたいなものですね。」

日々の戦いを支えてきたもの、それは力士に対する愛情…。

「(自分が)頭結ったお相撲さんが負けると、やっぱり自分も辛いんですよ。涙出る時もあるんです。“この一番勝たせてやりたかった”とかね。そういうのが、我々の仕事をする上での感情みたいなものかな。」

“心は常に力士と共に”
そう思う西村さんが大切にしている言葉…それは…

『為せば成る 為さねば成らぬ成る業を 成らぬと捨つる 人のはかなさ』

戦国時代を生き抜いた、武田信玄の言葉です。

「勝負の世界だから、お相撲さんでも稽古をしなきゃ強くならない。
我々の仕事でも、やっぱり数、練習すればするほど、また上手くなってくるし。
だから自分なんか、いまだに勉強だと思っているんですよ。」

強い思いが、力士を勇気づけます。