2015年3月10日放送

冷たく、乾いた風の中に干される…
麦わら帽子の職人、田中行雄さん。

「我々は麦わらの“寒干し”って言っています。寒い乾燥の時に、麦がしまるような状態なんです。それが一番形を崩さない(で整えられる)。」

麦の生産で栄えた埼玉県の春日部市。
春から始まる帽子の出荷に向けて、忙しい季節を迎えています。

「渦を丸める、最初のスタートが一番難しい。それと木型に合うようにサイズを合わせて縫わなければならないから、頭頂部から下におろす(カーブをかける)タイミング、頭の部分から帽子のつばを作る段階に入る感覚。頭にインプットしてある。」

60年以上作り続けてきた麦わら帽子…
しかし…

「なかなか後継者を作るのは難しいですね。常に技術者を養成しているような状態でやっているけれど、なかなか育たないのが現状です。目的を持ってやろうという人は数少ないですから。」

次の世代へ この仕事を伝えたくて 思う言葉。それは…

『不言実行』

あれこれ言わず 黙ってなすべきことをする、という意味のことわざです。

「自分がオーナーである以上は、責任を持ってやってみせると。」

冷たい風に耐えた先に、太陽の季節が訪れます。