2017年3月14日放送

写真、ではなく…筆一本で仕上げる水墨画。
水墨画家 山口英紀(ひでのり)さん。

緻密な世界に圧倒される山口さんの作品は和紙に墨を乗せただけで、描かれています。
『写真を自分で撮って、それを見ながら薄い墨を重ねて描くんですけど。方眼用紙を使って5ミリ単位で見ると、より細かく見えるので、(墨を)重ねてだんだん濃くして、濃淡とか立体感を付けていく。』

数え切れないほど筆を重ねその制作期間は、1年に及ぶことも。
『同じ濃さの墨を重ねても、筆圧とか腕の角度とかによって墨の乗り具合とかも
違ってくるので、自分の気持ちとかが(作品に)如実に表れる。』
水墨画ならではの“にじみ”や“かすれ”を生かし表現するのは“懐かしさ”

『自分が大事にしているのは“空気感”。街のにぎやかさだとか、表情なり仕草なり。“やさしい風合いだね”とはよく言われる。』

そんな山口さんが大切にしている言葉、それは…

『味外の旨み(みがいのうまみ)』

目に見えない部分までを感じ取り、深く堪能する事を意味する中国に伝わる言葉です。

『描きながら何気ない風景でも発見があったりとか、そこに色んなものを感じさせてくれる。
好きな事なので、ずっと筆を持って続けられたらいいな、と。』