2017年6月13日放送

写真修復師 村林孝夫さん。(67歳)

時を経て色あせた白黒写真が、当時そのままに蘇る。
「白黒の写真は銀の粒で出来てるんです。で、空気中にさらしておくと酸化性物質と
化合して、茶色くなったり白くなったり。でも画像は消えていないんです。
紙の中にちゃんと残ってるんです。」

これまで不可能と言われてきた白黒写真の修復。
7年の歳月をかけ、独学で修復法を開発しました。
「1番難しいのは各液からの写真の上げ時ですね。写真の表面を左手の人指し指で触って、判断してるんですけど、自分で会得するしかない。」
この技で、これまで三千枚以上の消えかかった思い出を修復してきました。

「おばあちゃんの写真を直したら、お母さんからもらった着物と同じ柄だったんで、本当はおばあちゃんから代々伝わって来たものだって分かって、すごく嬉しかったとおっしゃってくれた。」

絶対に失敗は許されないという村林さんが心におもう言葉。

「背山臨濤(はいざんりんとう)」

覚悟を持って臨めば不可能はないという、手島右卿(てしま ゆうけい)の書で知られる言葉です。

「喜んで頂ける方が数多くいるということで、どんな白黒写真でも元と同じ画像に
戻したい。もう、それだけです。」