2017年8月1日放送

鮎の笠網(かさあみ)漁 林道敏(はやし みちとし)さん

愛知県東部の街、新城(しんしろ)市。

豊川(とよがわ)の上流にある鮎滝(あゆたき)では
滝を登る鮎を網ですくう伝統漁“笠網漁”の最盛期です。

「自分たちが被っていた笠で鮎をすくったら、えらくとれるもんだから、
笠に4メートルくらいの柄を付けてとったというのが、この“笠網漁”」

350年以上の歴史を持つ笠網漁。
そこには昔から受け継がれる、しきたりが。

「お互いの境界、水面から上は“人間の世界”水面から下は“鮎の世界”
侵さないようにしましょうということで網は絶対に川の中に突っ込まない。
飛んで、待っている所に入って来るやつだけをとる。」

一時は途絶えた、この漁を
林さんは20年前、自ら道具を再現し蘇らせました。

「地元の人にとって、笠網漁は当たり前の景色。
小さい頃の思い出があるもんだから、回帰志向。そういう思いがあって、復興したいと思っています。」

歴史をつなぐ林さんが心に想う言葉、それは…

「伝統とは火を守ることであり、灰を崇拝することではない」

伝統を受け継ぐことの意味を伝える 作曲家 マーラーの言葉です。

「歴史のある漁、珍しい漁がここにある。
できることならばこの漁を、子々孫々伝えていってほしいな。それだけが夢です。」