2017年8月8日放送

山岳診療所の医師 間渕則文(まぶち のりふみ)さん。

北アルプス蝶ヶ岳。標高2677mのこの山で登山客の命を守る人がいます。

「自分の専門は重症緊急診療なんですけども、
自分の夏休みに何日かボランティアで、登山者の方の健康をお守りします。」

診療のため頂上の山小屋まで5時間半。自力で登ります。

「一番多いのは高山病の軽症なものですね。
急に症状が悪化するということがあって、脳浮腫とか肺水腫で、心不全になってお亡くなりになるっていうのがあります。」

登山ブームの中、この日も高山病の登山者で、診療所は埋まりました。

「歩けない状況になった場合はヘリ搬送が唯一の手段になってしまいます。
天候に大きく左右されるので、診療所で何とか応急処置を続けてます。
薬の種類も検査機器も非常に限られているので、ここが非常に難しいところですね。」

制限があってもなお、命に向き合う間渕医師が心に刻む言葉。

「我日常(われにちじょう) 彼非日常(かれひにちじょう)」

「常に患者の立場で治療せよ」という恩師の言葉です。

「今までは(高山病など)自分で我慢するしかなかったのが、早く医療介入をすれば健康を回復して頂いて、次の日から山を楽しんでもらうことができる。その人も山が嫌いにならなくて済むし、お礼を言って頂くと本当に嬉しいですよね。」