2018年3月27日放送

老舗弁当店、8代目、樋口純一さん。
日本橋の弁当店 “弁松”
ここに、およそ170年守り続ける味があります。
「現存している中では、たぶんウチが日本で一番古い弁当屋ではないかと思います。」
江戸時代後期、当時日本橋にあった魚河岸で働く人の食堂として始まりました。
「魚河岸の人たちは、食べる時間がなくて途中で残して帰ってしまう人が多かったらしいんですね。
それを経木にくるんで持ち帰らせた。そのサービスが好評で、弁当屋になりました。」
調理開始は深夜。1日におよそ2000食作ります。
特徴は、昔と変わらぬ甘辛の濃い味。
「弁当なので日持ちしないといけない。
あとは、江戸っ子っていうのは味がハッキリしたものを好むので、こういう味付けだった。
もともと“うまい”っていう言葉の語源が、“あまい”から来ているっていう説もありまして、
人の心に残る味なのかなと思っています。」
しかし、時代に合わせて味を薄くしようと考えたこともありました。
「弁松の弁当を食べた時に思い出がよみがえるっていう方が多いですね。
伝統を守っていくということは、ある意味割り切っていくことも必要なのかなと思います。」
弁松の味に、強い誇りを持つ樋口さんが、心に想う言葉、それは…

「何でも良い ひとつ上手であれば 良いものだ」

江戸時代の武士 河井継之助の言葉です。 

「基本的にはこのスタイルを崩さずに、この味だけでやっていきたいと思っています。」