2018年6月12日放送

桜葉漬けを作る、小泉邦夫さん。
香り高く桜餅を包む桜の葉。
静岡県松崎町で、国内生産量の7割を占める桜葉の収穫が行われています。
「大島桜という種類の葉っぱです。産毛がなく、形がすごくいい。
長さが15cm、幅が半分の8cm、それが一番見栄えがいい葉っぱとされています。」
丁寧に手摘みされた葉50枚を、1つに束ねます。
「50枚を数えたら、これを萱(かや)で縛っていくんです。
これを“まるけ”という、丸くするという意味です。」
“まるけ”を渦巻き状に並べて塩を振り、1つの樽で2万5千枚もの桜葉を塩漬けにします。
「5か月から6か月間、塩漬けにして初めて独特の香りが発酵するわけです。」
若葉の時期である5月から8月のわずか4か月間で、1年分の桜葉を漬け込みます。
「8月を過ぎますと、長さが15cmあっても幅が5~6cmにしかなりません。
それで桜餅を包むと、餅そのものがはみ出すぎて見栄えが悪いんです。」
昔ながらの製法を守る、小泉さんが共感する言葉。

「夷険一節」(いけんいっせつ)

穏やかな時も険しい時も職責を全うする意味の四字熟語です。

「葉っぱを取って食べるのは、桜餅ではありません。
葉っぱの塩辛さ、あんこの甘さ、それが口の中で調和しておいしい桜餅となる。
香りと色ですね、これが一番大事なことなんです。」