2018年9月11日放送

レコードカッティングエンジニア、西谷俊介さん。
まっさらな盤に溝を刻み、レコードの原盤を作るのが
日本に数人しかいないカッティングエンジニアの西谷さん。
「レコードの溝は無音の状態だと真っ直ぐの溝なんです。
高音の溝はギザギザとしたのこぎりのようになっています。
低音はゆるやかな大きなカーブになっています。
低音が大きくなればなるほどカーブが大きくなっていきます。」
LPレコードに溝を刻める幅はおよそ9cm。そこに20分ほどの音を刻みます。
「1mmの中に10本から12本くらい溝を並べていかなければ、
20分の音を収めることができないですね。」
マスター音源のままだと、低音の溝の幅が大きくなり、1mmに10本の溝が刻めません。
「低音をイコライジング(調整)で下げて、溝をできるだけまっすぐにすることでスペースに収めていく。
そういった作業を、いかにマスター音源に忠実で音の変化がわからないように経験と勘で調整していきます。」
レコードならではの優しい音を作る西谷さんが、心に思う言葉。

「諦めは心の養生」

失敗を悔いるより、諦めて前に進む方が精神の健康によいという意味のことわざです。

「何かを変えると必ずどこかが変わってしまうので、
自分のライフスタイルにも前に進むためには“何かを捨てなければ”というのは
すごく影響出ていると思います。」