2019年5月14日放送

琥珀(こはく)加工職人、小山太郎さん。
岩手県久慈市。ここは世界でも有数の琥珀の産地です。
「大昔の木の樹脂やヤニが土の中で固まったものです。」
小山さんは琥珀を原石から加工し、装飾品などを作っています。
原石の中の状態を見極め、石からのささやきに耳を傾けます。
「琥珀が教えてくれますから。ここにひび割れがあるよとか、不純物があるよって。」
時間をかけ、加工プランを決めるのは長年の経験。
「個性があって同じものがないんですよ。こちらは少し模様が入っていますので、
模様を生かした楕(だ)円形のような形がいいかなと思っています。」
この道34年、指先に感じるわずかな振動の違いで状態を見極めます。
「色が濃い部分が一番軟らかい。透明になればなるほど強度があります。
微妙に力加減を変えています。」
およそ8500万年の時と小山さんの研磨が、自然の輝きを引き出します。
琥珀の美しさを最大限に高める小山さんが共感する言葉。

「美は余分なものの浄化である。」

イタリア・ルネサンス期の芸術家、ミケランジェロ(1475-1564)の言葉です。

「手間のかかった子ほど、きれいになったときはうれしいですね。飽きはしませんね。」