2019年10月22日放送

古陶磁器修復家、佐野智恵子さん。
壊れたアンティークの陶磁器を、元の姿に修復する技術があります。
「カラーフィルと言う技法で、壊れたアンティークとか美術品を合成樹脂を使って、
基本の3原色と白の4色を使って色を調合して色合わせをして、直していきます。」
アンティークは一つとして同じ色はないため
のせる箇所に合わせ少しずつ調整し、修復する色を作ります。
「修復した部分を最小限にとどめて、オリジナルを最大限に生かすんです。」
27年前、留学したイギリスで カラーフィルと出会い、
今では東京都庭園美術館にあるアール・デコの名品『香水塔』を修復するなど、
日本のカラーフィルの第一人者となりました。
「パテを1回作ると2時間くらいしかもたないんですね。
失敗しちゃったなという色のときは、それを全部取って、もう1回色を作り直す。
それでも出来なかった時は、また次の日とか、また次の日ってやるんです。」
陶磁器の尽きかけた命に、再び輝きを取り戻す佐野さんが共感する言葉…

「千の歓びも一つの苦しみに値しない」

ルネサンス期の芸術家 ミケランジェロ(1475−1564)の言葉です。

「壊れたら、そこで終わりなんだって言うんじゃなくて、
修復して後世に伝えていきたいです。」