2019年10月29日放送

杼(ひ)職人、長谷川淳一さん。
機織りに欠かせない、横糸を通すための道具“杼”。
京都でその杼を作る最後の職人、長谷川さんが使う材料は、
20年乾燥させた赤ガシです。
「木の目が細かくて、薄くしても折れない。使えば使うほど滑らかになっていく。」
先端に杼金という真ちゅうを入れ、
木との継ぎ目がなくなるよう丹念に削ります。
これが杼の出来を左右するのです。
「すき間が空けばそこに糸が引っかかって、ものにならないわけです。」
杼を転がすコマにも名人の技が…。
わずかに勾配をつけるのです。
「手でも右左、ちょっとくらい、力が違いますわな。
真っすぐに行くように勾配が変えてあります。」
海外からも依頼があるほどの長谷川さんが共感する言葉…それは

「才子佳人」

理想的な組み合わせの男女という意味の四字熟語。

最後の仕上げは、奥さんの仕事。
「女性の手の方が、ざらっとしてないのでね、
“ここがまだ引っかかるな”というのがわかる。
ひとつの作品が出来ているわけです。
家内が留守の間は、こっちも仕事お留守ですわ。ワハハ!」