放送内容

2017年4月11日 ON AIR

アゴの腫瘍に苦しむ少女

一見ごく普通に見える3歳の少女。実は...アゴが大きく腫れている。
少女の名はメリッサ・ブラーガ。
巨大なコブのような塊が口や喉を圧迫し、命の危機に...。


両親は、娘に可能な限り健康で普通の生活を送ってほしいと愛情を持って育ててきた。
少女に一体何があったのか!?


"少女の命を奪うアゴの腫瘍"


ブラジル、サンパウロに住むメリッサ。
生まれてまもなくは、アゴは腫れていなかった。
ところが、生後6か月を過ぎた頃から右アゴの部分がコブのように腫れてきた。


母親が2人目を妊娠した頃には、さらに目立つようになっていた。
病院で診てもらうと「粘液腫(ねんえきしゅ)」と診断された。


粘液腫は、心臓や皮膚、骨、筋肉に発生する良性腫瘍の1つで、
頭頸部での発生は少なく、稀だという。


良性の腫瘍だったが、メリッサの場合、進行が早かった。
癌のリスクは少ないものの、あまりにも大きな腫瘍は、その他の健康問題の原因となった。


顔の大きさほどにも膨らんだ腫瘍は、ついにメリッサの呼吸や食事にまで悪影響を及ぼし始める。
3歳になってメリッサは話すことも食べることも困難な状態に。


摂取した栄養も腫瘍にとられるため、常に疲労状態。
免疫力も低下し、メリッサは動く事にも不自由を感じるようになった。
しかしブラジルでは、メリッサの病気を治療できる医療機関は見つからなかった。


両親は自分達で何とか最善を尽くそうと、フェイスブックを立ち上げ、世界中に助けを求めた。


日に日に衰弱していくメリッサ...
一刻も早く専門家に診てもらいたい。と、同時に莫大な費用が必要となる。
そこで、クラウドファンディングで基金を募った。


そんな時、アメリカ・ルイジアナ州立大学医療センターの外科医、セルソ・パルミエリがブラジルのニュースをチェックしていると、たまたまメリッサのフェイスブックを見つけた。


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両親の藁にもすがる思いが奇跡を起こし、少女の命が繋がった瞬間だった。


"両親の愛がつなげた命。10時間の大手術"


ブラジル人のパルミエリ医師は、メリッサを救いたいと、ガリ医師に相談。
ガリ医師は、似たような患者の手術を行った経験があった。


そして、手術チームが結成された。
突然舞い込んだ幸運に、両親は天にも昇る思いだったという。


去年12月10日、娘の苦しみに終止符を打つという希望を胸に一家は、
アメリカ・ルイジアナ州へ。
初めてメリッサを診察した医師たちは腫瘍の大きさに衝撃を受けた。


医師たちの想定よりも遥かに大きく腫瘍が成長しており、メリッサのアゴと歯に至るまで、腫瘍の進行に蝕まれていた。一刻も早く手術する必要があった。


そして、今年1月20日、腫瘍を取り除く手術が行われた。
少しでも傷つければ、顔面に麻痺が残る難しい手術。
大事な神経や血管を傷つけないように慎重に切り離していく。


手術開始から5時間、大きな腫瘍と共に、下アゴも取り除かれた。
その後、下アゴの代わりにチタンプレートを埋め込み約10時間に及ぶ手術は無事終了。


切り取られた腫瘍は、直径25cm、重さは約2.3kgもあった。
手術から数週間後、メリッサに笑顔が戻り、術後初めて食事もできるようになった。


現在のメリッサは少しずつだが食べられるものも増えてきた。
しかしアゴの部分には、まだ痛々しい傷跡が残っている。
両親は娘を救ってくれた病院に感謝しているという。


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今では、おしゃべりもできるようになった。
両親の愛が、娘の苦しみを救った。

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