放送内容

2017年6月13日 ON AIR

殺し屋に狙われている...そう感じていた人気芸人

1999年に突如、芸能界を去った人気お笑い芸人がいた。


ハウス加賀谷。本名、加賀谷潤。
1991年、5歳年上の松本キックと、お笑いコンビ『松本ハウス』を結成。


デビューするやいなや...その個性的なキャラクターで、
2人は瞬く間に人気芸人に!


だが、その華々しい活躍の裏で、加賀谷は命を狙われる恐怖に怯えていた。
自分に向けられる銃口...常に誰かに命を狙われている。


しかし、現実にはそんな殺し屋など存在しなかった。
なぜ、加賀谷には見えたのか?実はある病が原因だった!


"中学2年生で発症した統合失調症"


加賀谷を襲った病の名前は...統合失調症。
幻聴や妄想などの症状を引き起こすことが特徴で、
発症率はおよそ100人に1人と言われている精神疾患の1つ。
脳内で情報を伝える神経伝達物質のバランスが崩れることで起こると言われている。


その原因はまだ明らかではないが、生まれつきの脳機能障害や生活環境など
様々な要因が絡み合うことで起きると考えられている。
症状は個人差が大きく様々だが、大きな問題は本人が幻覚や幻聴だと気づかないこと。


加賀谷がその病気を発症したのは、中学2年生の時だった。
突如、自分に対する悪口が聞こえてきたのだ。


実際は誰も悪口など言っていない。
しかしそれ以降、加賀谷にはその悪口が頻繁に聞こえるようになる。


やがて、息子の異常に気付いた両親が病院に連れて行き、
その後、グループホームに入所し治療を始めた。それにより症状は改善。
17歳で夢だったお笑い芸人の道へ進んだ。


症状は落ち着き、謎の声に悩まされることもなくなった加賀谷。
その活躍は目覚ましく、瞬く間に人気芸人となっていった。


芸人として絶好調の毎日。自分はもう治ったんじゃないのか?
こうして...加賀谷は、自分の判断で薬をやめてしまった。


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"命を狙われる?再び襲う幻聴と幻覚"


意外にもすぐにその影響を感じることはなかった。
だから医者にも薬をやめたことは言わなかった。


もう大丈夫...そう、思っていた。
だが、しばらくすると体調に変化が...疲れているのに眠れない日々。
妙に落ち着かなくなり、心臓がバクバクするほど異常に高鳴る。


何かがおかしい...薬を飲まなきゃ、再発する!
そんな焦りからか、決められた量以上の薬を飲んだ。


そして、症状が落ち着くとまたすぐに薬をやめてしまう。
こうして薬をやめたり、大量に飲んだりを繰り返していた。


不安定な薬の服用により、加賀谷の症状は悪化していった。
感情のコントロールができず、朝から数時間泣き続けることや
突然、理由の分からない不安や恐怖に襲われることもあった。


その症状は次第に仕事にも影響を与えていく...
朝、体を動かせないほどの激しい倦怠感に襲われ、遅刻が目立つように。
だが、夢だった芸人の舞台。加賀谷はそこに居続けたかった。


そんなある日のこと...ふと窓の向こうが気になった。
部屋の向かいの建物に人影が...なんと銃を構えていた。
そしてその銃口は自分に向けられていたのだ。


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殺されるかもしれない...その恐怖でパニックとなった。
その後も殺し屋は頻繁に現れた。
実際にはいるはずのない殺し屋。でも加賀谷にとっては全てが現実だった。


華やかな芸能生活のその裏で1人、命を狙われる恐怖と闘う日々。
もう限界だった...そして母に助けを求めた。


"治療の日々...そして10年ぶりのステージへ"


母は息子の症状がぶり返しているのを目の当たりにした。
入院治療が必要との診断に...加賀谷は母と共に所属事務所に相談。


相方のキックとは、申し訳なさから、目を合わせることができなかった。
キックは加賀谷の要求を無言で受け入れた...こうして、松本ハウスは事実上解散。


2000年1月、加賀谷は病院の精神科に入院。
華やかな芸能生活から一転、小さな部屋に一人だけの生活。


そこで治療を受け始めた加賀谷は、両親の懸命な支えもあり徐々に回復。
7か月後に退院することができた。


薬の効き目や副作用には大きな個人差がある。統合失調症には日々新薬が開発されている。
その後、加賀谷も自分にあった新薬を見つけ、次第に日常生活を取り戻していった。


そして、解散から10年後、加賀谷はある決断をする。
相方のキックともう一度コンビを組みたい!そう思った加賀谷はキックに連絡をした。
その年、加賀谷はキックの単独ライブにゲストとして出演!


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10年ぶりのステージ。ファンからも温かい声援が。
こうして松本ハウスは10年の時を経て再結成。


現在、2人はお笑いライブに出演するなど活動を再開。
さらに並行して講演会にも出席し、現在も闘病を続けながら
同じ病に苦しむ人たちへの心のケアを訴えている。

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