放送内容

2017年7月25日 ON AIR

その時ストーカーは何を考えていたのか?

その時、ストーカーは何を考えていたのか?
仰天スタッフは元ストーカーとアポイントをとった。
全て正直に答えるという約束の元、その時の心境を聞いた。


その男性は現在51歳。悪質な行為を繰り返し、逮捕歴もある。
しかし、男性は自身の経験がストーカー被害者にも加害者にも
アドバイスになると考え、今回カメラの前で語ってくれた。


そもそも ストーカーは自分を卑劣な人間だとは思っていない。
なぜなら、ストーカーは全部相手のせいにして自分を正当化する。
だから、自分はこういった事をしても仕方が無いんだという考えを持っているという。


最初は軽い気持ち。しかし次第に過激になっていく。
そこには、誰もがストーカー犯罪に陥りかねない危険もあった!


"純粋な気持ちから身勝手な理屈へ"


2000年に施行されたストーカー規制法より前の1997年。
男はこの時、32歳で独身。重機関係の営業の仕事をしていた。


気の弱さもあり、成績はいまひとつ。
上司に怒鳴られ、落ち込んでいると...同僚の女性が優しく励ましてくれた。


同じ職場の年上の女性...その後、彼女がストーカーのターゲットとなる。
仕事終わりに居酒屋で一緒に一杯。


酒の席でも自分にかけてくれる優しい言葉。
男は勘違いしていく。自分だけに優しくしてくれていると。
そして彼女の事を意識し始めるようになった。


そして、男は思い切って女性に告白をした。
しかし彼女からは年下の男性とはそういう気持ちになれないという返答が。
男にとっては思いがけない言葉だった。


これを機に男は変わっていく。心も態度も。
彼女が他の男性と話しているだけで仕事が手につかなくなる。
営業の外回りもそこそこに会社に戻る。


フラれて以来、彼女にはなんとなく避けられていた。
そんな中でも彼女と付き合えればどれだけ楽しいか...と妄想が膨らんでいった。


しばらくすると相手の気持ちが自分から離れているか離れていないか確かめるために
彼女に電話をするようになった。男は悪気などなかったと振り返る。


相手の気持ちなど一切考えない。
自分の想いを拒まれると、無性に腹が立ち...ストーカー行為は始まった。


ストーカーになりやすいタイプとはプライドが高く、
他人から認められたい気持ちと、他人を支配したい気持ちが強い。
思い通りにいかない場合は攻撃性が強くなる。


世間の常識の時間など関係ない。
深夜でも、何度も何度も彼女に電話をかけた。
しかし彼女に恐怖感を与えているなど想像もつかない。


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女性からは「もういいかげんにしてよ!」とはっきり言われている。
男はそれでも自分はそんな人間じゃない、誤解しないでほしい。
電話に出てくれたらわかるから電話にまず出てほしいという心境だったという。


身勝手な理屈がストーカー行為のエネルギーとなり、
着信拒否がストーカーと化した男を加速させることとなる。


"彼女への思いが憎しみへ変貌"


頭の中が、99.99%彼女の事だらけになった男。
彼女が振り向いてくれると願い、そうなることを信じても果たされない。
自分は悪くない。なぜ分かってくれないのか?


連絡を取りたい一心で、行動はエスカレートしていく。
電話帳を盗み出し、女性の友人・親戚などに片っ端から電話した。
そこで聞き出した電話番号を探偵に持ち込み、執念で家をつきとめた。


そして、彼女宅へ。もちろん怯える女性。
しかし相手からたとえ非難や中傷の言葉でも、相手の声を聞けたというだけで
すごくご褒美をもらった気分になった。


そうやってエスカレートする男の行動。
ついに彼女は会社に訴えた。その結果、男は解雇となった。


自業自得ではあったが、この出来事から彼女への想いは憎しみに変わってしまった。


彼女への様々な思いが交錯し、他のことはどうでもよくなる。
食事も歯磨きもどうでもよくなり、風呂にも入らない。
やがて、恐ろしい願望を抱くようになる。


その時の男の心理は女性側の苦しみなど全く考える事はなかったという。
相手が苦しいのは当たり前、俺も苦しいんだという身勝手な心理。
恐ろしいのが、この苦しさから逃れるためなら、いっそ相手を殺して楽になりたい...
という思考回路に陥る事だった。


そして、ついに男は女性へ脅迫の電話をかけた。
ストーカー規制法のなかった時代でもあり、彼女は警察に訴えず
彼女の会社の上司が男を呼び出し注意をした。


規制法がある現在は、ストーカーに対する専門知識をもった第三者が
間に入る方がよいとされている。


どうせ、彼女と接触できないのなら・・
と男は注意をした上司と女性に刃物で襲い掛かった。


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男は逮捕。
ただし、容疑はナイフ所持の銃刀法違反。
まだストーカー規制法がなく、彼女がこれまでのストーカー被害を説明しても
事件として扱われなかった。


男は、48時間の拘留と罰金13万円のみ。
しかし、逮捕をされても目が覚める事はなく、ますますボルテージは上がっていったという。


自由の身となり、付け回し行為は再開された。
ついに彼女は仕事を辞め、姿を消した。


"加害者のカウンセリングが急務"


ストーカー規制法がある現在、被害にあった場合はひとりで悩まず、
警察や専門機関へ相談した方が良い。
被害の度合いによって、付き添いや身を隠す場所の相談も行っている。


ストーカー行為は諦めたが、男の感情はおさまらない。
しばらくして、あるサイトに目がとまった。
DVやストーカー加害者の更生プログラムを行っている機関だった。


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彼はここに通ってストーカーから抜け出す事ができたという。
そこはストーカーやDV加害者のグループワークを行っている、日本でも数少ない場所。


人はそれぞれ、自分の考えに基づいて行動している。
誰もそれを無理強いすることは出来ない。
その当たり前のことを理解することで、男は考え方が変わったという。


現在、これまでの自分の罪を反省した元ストーカーの男性は、
自らの経験を生かし、ストーカー加害者の犯罪を食い止める活動をしている。


ストーカーによる悲惨な事件が、これ以上起きない様にするためには、
今後、加害者へのカウンセリングが常識となるかもしれない。

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