放送内容

2017年8月 8日 ON AIR

太ることが難しい恐怖の病

ある18歳の少女...自分が痩せている自覚はない。
「拒食症」に侵された彼女は、悲鳴をあげる体に耳を貸さず、
痩せることに取り憑かれてゆく!


"親友の死がきっかけで食事が出来なくなる"


イギリスの小さな町、イェートリー。
一人っ子のジョディは、両親からたっぷりの愛情を注がれて成長した。


しかし16歳の頃、一つの悩みがあった。
それは筋肉質のがっしり体型。これがコンプレックスだった。


そんなジョディに思いがけない出来事が...
なんと男友達のジェイが心停止で亡くなった。


二人は3年前に知り合った。
SNSやスカイプで頻繁にやりとりする中で、親友としてかけがいのない存在になっていた。
そんなジェイが死んだ...あまりのショックに吐いていた。


ジョディはその日から食事が喉を通らなくなった。
そして2週間後...そこには筋肉質でがっしりした姿ではなくほっそりした自分がいた。
この時、親友を失った苦しみから一瞬、解放された。
そしてもっと痩せたい...と思ってしまった。


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過激に痩せた姿を自慢するサイトを見つけ、そこにある痩せる方法を片っ端からやった。
食事は、1日なんと20キロカロリーという方法を選んだ。


その頃の食事はというと、朝はゼリーで昼はジュース、夜はスープのみ。
頭は食べ物のことで支配された。
しかし深夜0時を過ぎると、その日も食欲との戦いに勝ったという優越感と
幸福感が湧き上がった。


"太っている自分が許せない"


この頃のジョディは周りが痩せすぎだと注意をしても聞く耳を持たなかった。
自分の痩せた姿を認識できない。それは拒食症によって前頭葉が萎縮することで起こる錯覚。
拒食症の人がどれだけ痩せても「太っている」と思ってしまうのはこのためだった。


やがて、ジョディは入院を余儀なくされた。
その時の体重は元の体重から20キロ痩せて34キロに。
医師は、このまま痩せれば心臓が止まる可能性もあると忠告した。


家族の24時間の監視体制の中、栄養剤で命をつなげる日々。
34キロのジョディの二の腕は指でつかめるほどに細くなっていた。


2か月の治療でなんとか40キロまで戻ったが...彼女は太った自分が許せなかった。
食べさせようとさせるほどかえって逆効果になる。


そして再び30キロ台に体重が戻ってしまったジョディ。
この頃学校に行くと...痩せ過ぎで誰も話しかけてこないばかりか、距離を置かれた。


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握力の低下で歯磨きが絞れず、トイレは骨が当たり痛くて座れない。
まともに階段も上れなくなるなど、日常生活にも支障が出るようになった。


"元の自分に戻りたい...病と闘う事を決意!"


頻繁に貧血で倒れるようになり、髪もごっそり抜けた。
友達を失い、家族を悲しませ、まるで老婆のような自分...


お湯に浸かるには、骨が当たるのを保護するためバスタブにタオルを
敷き詰めなければならない。
いつものようにバスタブにタオルを敷き詰めていた、その時だった!


私は何をやっているんだろう...ジョディは急に自分にうんざりし、いやになった。
そして元の自分に戻ると母に誓った。しかしそれは痩せていく以上に過酷な事だった。


まずは1日700キロカロリーの摂取を目標に食事を取ることに。
母は栄養士からの指導を受けて料理を作った。


そしてこんな工夫を。
「食べ物」を意識させないよう、フルーツと野菜で絵を描いたのだ。
流動食が最も体に良いのだが、いかにも治療的で拒食症患者はなかなか受け入れないという。


母の料理はジョディの恐怖心を和らげ、ついに700キロカロリーを取ることが
できるようになった。


しかし...魔の過食期がジョディを襲う。
食欲が止まらなくなる過食期に入ると、飢餓状態だった体が
ようやく入ってきた栄養をもっと取り込もうとする。


それを欲しいままに食べると急激に太り、再発する人がほとんど。
克服できるかどうかはこの時期にかかっているという。


"ついに太る恐怖を克服する"


彼女はレモン水を飲み、過剰な食欲を抑えた。
次の難関は体型の変化。過食期を乗り越えると食欲は自然に収まる。
しかし、食べ始めるとぽっこりお腹が目立ち、また太る恐怖に脅かされる。


ジョディは、恐怖と戦い、母の支えのもとで懸命に食べた。
そして最終難関リバウンド期。
うっすらと脂肪がつき始めた頃、再び病院を訪れた。


医師によるとジョディの体は飢餓状態だったため、それを補うため、
健康体重の10%が増加するという。


つまり、もともと54キロだったジョディはその10%のおよそ5キロが増え、
60キロ近くになる。これは科学的に起こりうる体の仕組み。
この知識がないとパニックになり挫折してしまう。


正しい知識と家族の協力の元、ジョディは順調に体重を増やしていった。
発症前の54キロを超え、医師が言ったように60キロ台になった時、
太る恐怖を克服し、今の自分を受け入れられる心の余裕が生まれていた。


ジョディはこの姿と、34キロの時の写真をインスタグラムにアップ。
すると世界中から称賛のメッセージが届いた。


拒食症を克服したジョディさんは今どうしているのか?
母のジュリーさんに案内されると、そこにいたのは健康的な体を手に入れたジョディさん。
現在は68キロだという。


拒食症になっていく時期よりも回復していく時期が過酷だったとジョディさんは言う。
今ハマっているのはボクシング。これからは健康的に痩せたいという。


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