放送内容

2017年8月15日 ON AIR

世界の酷暑 仰天生活パート3!

仰天ニュースは毎年、世界中の超暑い場所に向かい、実際に体感してきた。
そしてこの夏も、超暑い砂漠の国へ。


そこには村などない。ある一家が住んでいるだけ。
店も、病院も、なんにもない!さらに、その国では恐ろしい砂嵐が発生するという。
一体どんな場所なのか!?


" 国中で40度越えの酷暑の国へ"


成田からドバイを経由し22時間。
到着したのは、アフリカ北東部スーダン共和国。


エジプトの文化を色濃く受けた遺跡が、世界遺産にも認定されている。
現存するピラミッドはちょっと小さめサイズではあるが、エジプトよりも多いという。


金などの鉱物資源が豊富で主要産業のひとつにもなっている。
一方で、国中で40度越えを記録しているという酷暑の国。


朝8時半ごろの気温は29.5度。
そんなスーダンで取材を始めると、気温はぐんぐん上昇し、
日が昇ってきたお昼の気温は43.6度。なんと15℃近くも上がった!!
サーモグラフィーで町を見てみると、アスファルトはまるで火の海。


そんな町には、つぼのようなものが置かれている。
ジールと呼ばれているそのつぼには、誰でも飲んでいい水が入っている。


この水にはある秘密が。スタッフが飲んでみると、思った以上に冷たい。
素焼きの水がめなので、その隙間から少しずつ水が蒸発する。
蒸発するときに、周りのアツい熱を奪っていくため、常に水は冷たく保たれるという仕組み。
ちなみに、水道水と比べてみてもなんと11℃も低かった!


次に一般的な家を見せてもらった。ドライバーの仕事をしているハマドさんのお宅。
中に入ってみるとコンクリート造りの建物の中には、暑さをしのぐための
エアコンやファンといった電化製品がある。


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隣の部屋は風が通りやすい造りになっており、エアコンが無くても涼しい。
ちゃんと水道もあり、都会の家にはガスが通っていてコンロで料理をする。


ちなみにスーダンの平均月収は約2万円。
2001年に建てられたという50坪ほどのこちらのお宅は、
土地代込みで約50万円となっている。


" 砂漠の真ん中で暮らすハサニア族"


スタッフは今回の目的である、超暑い何にも無い砂漠に住む人のもとへ向かった。
早速首都ハルツームを離れ北へ移動。
走り出して2時間。建物が減り、砂漠が広がり始める。


午後2時、突然周りが暗くなり始めると、「ハブーブ」と呼ばれる砂嵐が発生した。


乾燥した熱い土地に、海からの湿った空気が流れ込んでくると、砂漠の熱い空気が
湿った空気の上に乗り上げて、積乱雲ができやすくなる。
大きく成長した積乱雲からは冷たい空気が一気に下降し、地面にあたることがある。
それが砂を巻き上げて周辺に広がり、ハブーブとなるのだ。


だが、スタッフが遭遇したハブーブはすぐにおさまった。
ハルツームを出発して8時間。日が暮れた為、この日は砂漠のど真ん中で1泊することに。


翌朝、引き続き砂漠を移動。
しばらく走ると、いくつか建物が見えてきた。ここに灼熱の地に暮らす人々がいるのだろうか?


石を積み上げた家に住む現地の女性に、通訳が事情を説明。
取材をさせてもらうことになった。


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彼女はハサニア族のメディーナさん。
一家は、夫とおばあちゃん、そして7人の子ども達。
彼らはここで家畜とともに暮らしている。


ハサニア族が住むこの砂漠の気温は、47.6度で超暑い!
湿度は10%とカラッカラ、家畜の死骸も干からびる。


改めてメディーナさんのお宅をじっくり拝見させてもらった。
家の骨組みとなっているのは、サムラと呼ばれる太い木。
壁や屋根はテベスというわらのような植物で、適度に隙間があり、風が通る仕組み。
ちなみにここには、電気、ガス、水道は通っていない。


奥のスペースは、食料や服など荷物を収納している場所。
中と外の気温差は11度。わらで覆っているだけなのに涼しい!
キッチンはガスが通っていないので、薪やわらを燃やす。


今日の料理はモロコシの粉を水で溶いたものをクレープ状に焼き、
刻んだ玉ねぎを入れたトマトソースを付けて食べる。
そのお味は、意外と酸っぱかった。


" 砂漠での生活に密着!"


食事をごちそうになって、ここで大きな疑問。
周りに店などないこの砂漠で、食材などはどこで手に入れているのか。


実は5年前、彼らの家の近くに道路が出来た。
ここを行きかうトラックやバスに乗せてもらい、町に買い物に行くのだという。


物を買うためのお金は家畜を売って作る。
ラクダが一番高値で20万円前後で売れるのだとか。


メディーナさんの家では、ラクダが約60頭。
ヤギ、ヒツジがそれぞれ約20匹、そしてロバを3頭飼っている。


それらの総額だけでも、およそ1300万円。
平均月収が約2万円のスーダンでこの資産。実はかなりのお金持ちなのかもしれない。


家畜の放牧を担当するのが、二男のハッサンさん(24歳)
100頭近い家畜を草の生えているエリアに移動させる。
一度家を出ると、1か月ほど帰れないこともあるのだという。


水道がないので、飲み水は井戸へ汲みに行く。
井戸があるのは、なんと家から約6kmも離れた場所。
45度を超える炎天下をロバと共に進んでいく。


そうして進むこと2時間。彼らの生活を支えている井戸に到着。
井戸水をすくうのはバケツではなく、ヤギやヒツジの皮でできた伸縮性があるバッグ。
この革製バッグを井戸に入れて水を汲んだら、ロープの反対側をロバに括り付け、
ロバの動力で引き上げる。


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それにしても、ロープはだいぶ長い。
スタッフが井戸を覗いてみると、底が見えないほど深かった!
パリの凱旋門の高さと同じ50mはあると思われる深い井戸。


この井戸が出来たのは60年ほど前で、ハサニア族たちによる手作りだという。
それらを少しずつメンテナンスしながら、今でも大事に使っている。
この井戸の水が彼らの命をつなぐのだ。


4ガロンのポリタンクを、4つ分。これで家族が2~3日過ごせるという。


" 暑さをしのぐ生活の知恵とは?"


気温なんと49度の灼熱砂漠で暮らす人達。
これほど暑いと、極力エネルギーを消費しない為に人々は寝るしかない。
動物たちも自分たちなりのひんやりスポットを見つけ涼んでいる。


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それにしてもなぜこんなにこの地は暑いのか?
このあたりは海から遠い内陸に位置しているため、海からの涼しい風が届きにくい。
また、盆地であり暑くなった空気が流れにくい。


では、ここに住む女子たちは酷暑の中、どう過ごしているのか?


朝6時半、一番早起きは自称94歳おばあちゃん。朝のお祈りから1日が始まる。
身だしなみはきちんと。
二女のドーアさん(19歳)と三女のスレイヤさん(17歳)は、砂漠の真ん中で歯磨き。
朝一番の仕事は家畜の世話。ヤギのミルクは貴重な栄養源となる。


薪にする木を拾い、常に火を絶やさない。
そこで炒っているのは、コーヒー豆。実は1日に何度もコーヒーを飲む。


そのコーヒーに何かの粉を入れた。なんとしょうがの粉だった。
スーダンでは、しょうがを入れるのが一般的なのだという。


おばあちゃんもじっくり味わうジンジャーコーヒー。
しょうがは、発汗を促す作用がある。
汗が蒸発する時に熱が奪われ体が涼しくなるという。


" 厳しい環境でも支え合って生きていた!"


そんなハサニア族、女性たちの美意識は高い。
手足にはヘナという植物で染めた柄が。これは既婚女性が行うもの。


10代の女子だって美容には関心あり、日焼け止めはマスト。
それにメイク道具も揃っている。
どこの国でもキレイでありたいという女性の気持ちは同じ。


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三女のスレイヤさんがすっぴんのスタッフを見かねて、メイクをしてくれた。
娯楽の少ない砂漠では、こんなことが女の子たちの楽しみ。


そして砂漠に生まれた彼らにも、文明はどんどん入っていた。
灼熱砂漠の真ん中でも携帯電話!
10年ほど前にこの辺りに電波塔が建ったらしい。
バッテリーが無くなると、ありあまる太陽の光で充電!


よる8時には真っ暗になる砂漠地帯。
電気が無いので、撮影用のライトを消すと、真っ暗。
今日はカメラが入っているが、いつもは暗闇で夕飯を食べているという。


厳しい環境の中だがみな毎日とても楽しそう。
ここには争いがなく、家族とおしゃべりしてのんびり過ごせるのがいいのだという。


現在スーダンは雨季に入った。灼熱の砂漠に、恵みの雨がちょっとだけ降る。
過酷な環境だからこそ家族の絆は深く、支え合って生きていた。

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