放送内容

2017年9月 5日 ON AIR

戻らない体重の謎

太ることで悩んでいる人は大勢いるが、痩せすぎで命の危機が及ぶ人も少なくない。
長い間失った体重が戻らず、生と死の間で拒食症と闘う人がいた。


2015年、ある女性の動画が世界に衝撃を与えた。
骨と皮だけの体、彼女の体重はなんと18kgと紹介された。
それから2年、あの女性はどうなったのか?


"減量の達成感がきっかけだった"


ロサンゼルスから車で1時間。閑静な住宅街、ラグーナヒルズ。
彼女は現在、ここに住んでいるという。


家の中に入ると動画の女性、レイチェル・ファローさん(39歳)が迎えてくれた。
2年前とそれほど変わったようには見えない。
折れそうな程、細い手足。


拒食症の恐怖...本人の口から、その全てが語られた。


1978年に生まれたレイチェル。
幼いころから親に逆らったことが一度もない、いわゆるいい子だった。


完璧主義で中学、高校と学校の成績は常にトップ。
そんな彼女は大学卒業後、大手コピー機メーカーに就職した。


会社で誰にも負けたくなかったレイチェルは仕事に没頭。
朝早くから何十件も営業に回り、誰よりも遅くまで残って仕事をした。


そんな生活にストレスを感じ始め、解消法としてジムに通うように。
限界ギリギリまで体をいじめると、スッキリした気分になれたという。


そこでトレーナーをしていたロッドと出会い、やがて2人は交際を開始。
この頃はどこにでもいる幸せなカップルだった。


しかしある日、久しぶりに体重を計ると2kgほど減っていた。
ジム通いが結果につながったレイチェルは達成感を覚えたという。


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自分が頑張ってきたことが体重という目に見えるものに表れたことに喜びを感じた。
逆に体重が増えたりすると、仕事も手につかないほどイライラする様になっていく。
いつのまにか体重を落とすことが、すべてに優先する目的になっていった。


"寄付で入院費を募り治療へ"


こうして25歳のとき、56kgあったレイチェルは
30歳の頃には、40kgを割るまでに体重が減った。


その後も体重は減り続け、35歳の頃に30kgを割ってしまった。
会社で倒れ、入院することも増えた。
そんな状況が続き、ついに35歳のとき13年在籍した会社をクビになってしまう。


この時点でも本人に拒食症の自覚はなかった。
しかし体重はすでに20kg台前半。
起き上がることも困難になり、レイチェルに付き添う為に交際相手のロッドは仕事をやめた。


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このままでは彼の人生が私の犠牲になってしまう。
彼の姿を見てレイチェルは病院に行くことを決意。


ただひとつ問題が...アメリカ中の病院に問い合わせてみたが、これほどまで痩せると
長期の治療が必要になり、その費用は1000万円以上にものぼる。
そんな大金など2人にはなかった。


そこで動画サイトで募金を呼びかけようと考えた。
これにより、世界中に公開されたレイチェルの姿は世界中に衝撃を与え、
多くのマスコミも彼女の事を報じた。


動画で呼びかけたことで、集まった寄付はおよそ2000万円。
このお金でレイチェルは集中治療が可能な病院に入院することが出来た。


"時間をかけて食事をする日々"


ようやく治療が始まったレイチェルだったが、
低栄養状態が続いた体は心臓をはじめ、臓器の機能も低下していた。
こうした状態で高カロリーの栄養を摂ると体が適応できず、代謝異常を起こしたり、
心不全など、命にかかわる事態を起こしかねない。


そのため、全身の状態を常にチェックしながら、わずかなカロリーから時間をかけて
体を慣らす必要があった。


こうして少しずつ順調な回復をみせていたレイチェル。
今の食事はフルーツが中心で、この日はパイナップルとブラックベリー。


ベリーをひとつ飲みこむのに40秒ほどかかる。
そしてすぐに水を飲む。


レイチェルは食道がすごく細くなっていて、飲みこむ筋肉も落ちてしまっている。
いつ詰まらせてしまうか分からないので、1人では食事はできない。


1日に食べる量は特に決まっておらず、こうした食事を日に4~5回にわけて摂っている。
足りない栄養は、医師の指導に基づき、ロッドが点滴で補っている。


体調がいい時は、ロッドと家の周りを散歩。
これも体力をつけるための大切なリハビリだという。
近所の人とのおしゃべりも楽しみにしている。


レイチェルはいつかロッドとレストランに行って、テーブルいっぱいの料理を
2人で食べ、お腹いっぱいになって笑いあうのが夢だという。


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これからも、拒食症との闘いは続く。

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