放送内容

2018年1月 9日 ON AIR

仰天探検隊!「世界一キケンな綱渡り漁師」

仰天探検隊! 今回は・・世界的に有名なある漁師に密着!


その漁師は...とにかく漁をする場所が超スゴイ!
激流の上で命綱を使わず、素手とサンダルでワイヤーをつたう。
そんな超危険な漁師として、有名になった男性。
一体、何でこんな事をしているのか?


"ラオスの超激流で漁をする男"


ということで、日本から飛行機で11時間のラオスへ。
やってきたのは南部の都市、パークセー。


ラオスには海がないので漁といえば、このメコン川。
メコン川は、6か国をまたぎ流れる東南アジア最長の川。
長さは、日本の本州を大体3つ並べたくらい。


街の市場を覗いてみると...メコン川で捕れた魚がところせましと並んでいる。
メコン川の漁師はこの国の食卓を支えているのだ。


早速、あの漁師が住む集落へ向かう。
出発して3時間。やってきたのはメコン川にほど近い、ターコ―村。
この村には170世帯、およそ1600人が暮らしている。
ほとんどの男性が漁師。


早速、自宅へ。
高床式住宅の床下に、男性の姿。
出迎えてくれたのは、伝説の漁師サムニアンさん。


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一緒にいたのは、奥さんのルンさんと子どもたち。
このときは遊びに出ていた二男も入れて、5人家族。


では、早速漁へ!
...と思ったが、悪天候の中の漁は危険すぎるらしくこの日はお休み!!
なので、場所だけ見せてもらうことに。


5分ほどで見えてきたのは超激流!!
ここは「コーンパペンの滝」と呼ばれる、メコン川最大の滝。


別名「メコンの折れる場所」と呼ばれ滝の落差は15m前後。幅はおよそ300m。
観光地にもなっており、その雄大さが魅力だが...川岸に降りてみるととてつもない激流!
何でこんな所で漁をするのか!?


"こんな危険な場所で漁をする理由とは?"


実は、メコン川では、村ごとに漁ができるエリアが決まっている。
そのためサムニアンさんはこの滝周辺で漁をするしかない。


そんな不遇とも言える状況で、サムニアンさんはある方法を見出したのだ。
それが鋼鉄製で直径1cmほどのワイヤー。
固定されているのは、細い木。
それは岩場の上に置かれ、木の根っこにヒモで結んだだけ。


ワイヤーから落ちれば、間違いなく激流の餌食なので他の漁師は危険で渡らない。
そのためワイヤーを渡った先の島は、サムニアンさんにとって絶好の漁の穴場となる。


20年程前からこの方法で、他の漁師との競争を避けてきたのだ。


魚は激流を逃れ、岩陰で流れが静かな所に集まりやすい。
緩やかな流れの場所ではどこに魚がいるか分からないが、激流の周りは
狙うポイントが絞りやすいという。


実はサムニアンさんの父親もワイヤー漁師。
雨季で水量が上がる時期は、陸地が水没し、漁場に行くのが困難に。
そこで、サムニアンさんの父親は、ワイヤーを張ったのだ。


さらにサムニアンさんが、そのワイヤーの道を伸ばして現在の状態になった。
親子代々、不利な漁場にも関わらず工夫して漁を続けてきたのだ。


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夜になり、サムニアンさんはあるものを見せてくれた。
それは10年程前に、国内の雑誌に取材されたもの。


色んな国からこれまで100回以上も取材が来ているというサムニアンさん。
ちなみに今月(2017年11月)は仰天ニュースの取材で4回目だという。


とはいえ、有名になるだけでは、家族を養うことはできない。
生活費を稼ぐには月30キロ近い魚を獲らなければならないという。


"いよいよ漁へ!大漁なるか!?"


そして翌朝。改めて漁へ向かった。
いよいよあのワイヤーへ。激流の上を行く!


ここからは2本のワイヤーだけが頼り。
水面からの高さは10mもないが、その分、激流が間近まで迫って感じる。


水深が浅いので落ちれば川底に激突。
でなくても激流に飲み込まれるか、流されて岩に激突するか...
そんな状況にも臆することなく、直径わずか1cmのワイヤーを突き進む。


サンダルに素手で、向こう岸まではおよそ25m。
全く危なげなく、途中で止まったりすることもない。


渡り始めてから、2分で到着。
しかし、危険はこれで終わりではない!


サムニアンさんが向かったのは、あの超デカイ滝!
すぐそばまで激流が迫る中...水面ギリギリまで近づきここで網を投げる!
狙うは、激流の中で緩やかになっている穴場。


彼が使うのは投網という漁。
川に投げ込むと先におもりが付いていて、川底に沈み込み、
それをすくい上げることで魚を捕らえることができる。


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2、3回投げてダメだったら別のポイントに移る。
濡れた岩場は、苔が生えていて滑りやすい上にかなりの急斜面。
重さ6キロの網を抱えて
まるでロッククライミングのように、足を置く場所を探しながら進んでいく。


すると次のポイントで魚が網にかかった!
サムニアンさんも満面の笑み。


獲れたのは、現地語でパケーというナマズの一種だが...
サムニアンさんによれば1kgにも満たないから売らずに家族で食べるのだという。


実は6月から8月が、魚がよく獲れる狙い目の時期。
彼らは多く獲れる月に稼いで残りは貯金を切り崩す生活をしている。


超危険な漁を行うサムニアンさん。
家族はどういう心境なのか?


妻のルンさんは心配ではあるが生活がかかっているからと複雑な心境を語った。
ちなみに息子は将来、お父さんのような漁師になりたいと言うが、ルンさんは反対だという。


現在52歳のサムニアンさん。できるかぎりこの漁を続けたいと語る。
超危険な綱渡り漁は、彼の代で終わってしまうのだろうか!?

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