放送内容

2018年7月24日 ON AIR

命を奪うほどのチャーハン

数年前の10月。
ある日の昼食、とある家族が3人で仲良くチャーハンを食べていた。


幼い子ども達はママのチャーハンが大好きだった。
ところがこのあと親子に悲劇が...


食後、30分ほどした時...娘に呼ばれて行ってみると、息子がぐったりしている。
食べたものを戻していた。


さらに娘も同じ症状に。
母は一体どうしたのか?と思っていると...自分にも吐き気が。たまらずに吐いた。
吐き気は収まることなく続く...それに加え下痢の症状も。


病院へ...とは思うが、力が入らず立っていることすら出来ない。
母は思った、原因はあのチャーハンだ!と。


実はお昼に食べたチャーハンは、昨日お昼ごはんとして作ったもの。
その時、一食分ほど残ったので、ラップをかけそのまま台所に置いていた。
今日、食べる前に味見をしたが、腐っている様子はなかった。なのに一体なぜ?


親子が搬送されたのは発症から6時間ほど経ってから...
症状の重かった息子は生死をさまよい、その後回復。
比較的、症状が軽かった母親と娘は、手当を受けた結果、ほどなく回復した。


保健所は患者宅で、食品残品や吐しゃ物などを回収し検査を行った。
分析の結果、食中毒を起こした細菌は...セレウス菌だった。


セレウス菌とは土壌・水・ほこり等の自然環境に広く存在している菌で、
食品に付着していることも多く、特に穀物や豆類などが汚染されていることが多い。


菌が大量にいる食品を食べると、嘔吐を主症状とする食中毒になる。
また体内に入った菌が腸で増殖した場合には、下痢が主症状となる。


一方で本来セレウス菌食中毒は、それほど重症化はしない。
病院へ行っても脱水状態を防ぐための輸液の処置で済む場合がほとんど。
1~2日で自然に回復するとされている。


しかし高齢者や幼児など抵抗力が低い場合には、重大な事態につながりかねない。
極めて少ないが、日本で前日のチャーハンを食べての死亡例もある。


作り置きは危険!熱に強いセレウス菌


電子レンジなどで食べるときに熱を加えるので、細菌は死んでしまいそうなものだが、
実はセレウス菌は熱に強い!


セレウス菌の芽胞は90℃で、60分加熱しても死なない。
パスタ、焼きそばなども作り置きするのは危険を伴うという。


時に命を奪うほど強いセレウス菌。
どんなチャーハンにも存在するのか?番組で確かめてみた。


スーパーなどで手に入る様々な食材を使い、一般的なチャーハンや、ガーリックチャーハン、
海鮮チャーハンなど、様々なチャーハンを20種類作り検査した。


すると、20種類のうち、なんと17種類からセレウス菌が検出された!


特に水分の多い、海鮮チャーハンなどでセレウス菌が増殖しやすいことが分かった。


続いて、常温と冷蔵でチャーハンの菌の増え方を調べた。


条件を同じにするため、チャーハン1gに対しセレウス菌を40個ほどにして、
夏の室温に近い30℃の保温庫と4℃の冷蔵庫に入れた。


ちなみに菌はグラム当たり10万から100万個以上に増殖すると
食中毒を起こすと言われている。


果して、菌はどれくらい増えるのか?


30℃に置いたチャーハンは、
1gあたり40個だった菌が3時間後、なんと20万個に!
さらに12時間後にはなんとグラムあたり16億個以上に増えていた!


ちなみに冷蔵した方は...12時間たっても菌の量は2万個。これならほぼ安心。


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ちなみに、炊飯器などで60℃以上で保温すればセレウス菌の増殖は抑えられるのでご飯の保温は安心です。

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