放送内容

2019年2月12日 ON AIR

原因が分からないアナフィラキシーショックの衝撃

2017年。
ミス・ユニバース日本代表の座に輝いた、阿部桃子。
彼女の父はリポーターとして活躍する阿部祐二。母はプロゴルファーのまさ子。


1人娘の桃子は、親からの愛情を一身に受けて育ってきた。
そんな桃子にとって、夢に見ていた晴れの舞台。
しかしこの少し前...彼女は死を覚悟する事態に陥っていた!


それは大会の2週間前のことだった。
家族で訪れた馴染みの鉄板焼き店。
この日は、アワビ、フォアグラ、近江牛など高級食材を堪能した。


桃子は元々、カニやエビなどの甲殻類アレルギーを持っていたため、
食材に気を付けながら食事を楽しみ、帰宅。
家では大会に向けて、美しいボディラインを作るためのトレーニングを行った。


入浴して汗を流すと...かすかな違和感が。
なぜかこの日はのぼせるのが早い。
それがのちに、とんでもない事態を招く!


午前1時すぎ...体にかゆみを感じて目を覚ました。
すると...腕や足全体に蕁麻疹が。


鏡を見ると顔は腫れあがり、瞼もパンパンに。
すると今度は、猛烈な吐き気が...。


しかし、なぜか吐こうとしても...吐けない。
次第に、息苦しく...次々に現れるただならぬ事態に、両親に助けを求めた。


甲殻類は食べてないのになぜ症状が?


両親に連れられ病院へ向かった桃子。この時、すでに意識が朦朧としていた。
医師は、紅潮した皮膚、蕁麻疹、吐き気、呼吸の乱れなどの症状が短時間に
現れていることから、なんらかの物質を原因としたアレルギー反応と考えた。


さらに、意識障害や血圧の低下が見られることからアナフィラキシーショックと診断。
すでに、アレルギー反応によるむくみで気道が塞がれ、十分な呼吸が出来ない状態に。


発症から1時間以内に処置を行わなければ死に至ることも。
すぐにアドレナリン注射とステロイド剤が投与され、蕁麻疹などの症状は落ち着いた。
それにしても、エビもカニも食べなかったのになぜ?


その2週間後...桃子はミス・ユニバース日本代表選考会の舞台に立った。
両親が見守る中、見事に日本代表の座を射止めた。


翌日から、4か月後の世界大会に向け様々なレッスンがスタート。
あの症状の記憶も忘れかけていた。


そんな矢先、友人と訪れた旅先で再びアナフィラキシーショックに。
今度は、早めの処置が施されたため朝にはすべての症状が治まった。


20190212_04_02.png


しかし、また桃子に疑問が...。
今回も、旅館にお願いしてエビやカニは避けてもらった。
さらに、1つ1つの食材を確認しながら口にしていた...それなのに一体、なぜ!?


原因が分からないまま、万が一のことを考えてステロイド剤が処方され、
常に持ち歩くようになった桃子。
いつ、またアナフィラキシーショックが起きるのか...不安ばかりが膨れあがっていく。


そんな中11月、桃子は、無事、ミス・ユニバース世界大会に出場。
アナフィラキシーショックで思い悩んでいることなど微塵も感じさせない、
堂々としたステージだった。


そして、何事もなく半年余りが過ぎた頃、
またも...母と出かけた旅行先で、再び、原因不明のアナフィラキシーショックに襲われた!


専門機関で検査し、原因が判明!!


近くの病院で適切な処置を受けると、いつものように症状は治まった。
医師はここ最近の症状の際に食べていた共通の食材について桃子に尋ねた。
桃子が思い当たったのは...アワビだった。


アワビは父・祐二の大好物。その影響で桃子も好んで食べていた。
子どもの頃から食べていたためこれまで疑いもしなかった。
本当にアワビが原因なのか...!?


そこで桃子は、アナフィラキシーショックの原因物質を特定するため、
神奈川県にあるアレルギーの専門機関で検査を行うことになった。


今回、桃子が受けたのは...プリックテストという検査。
アレルゲンの疑いがある食材を直接、肌にのせ点状の小さな傷をつけて反応を見る。


今回は、エビ、カニといった甲殻類に加え疑いがあるアワビ、
さらに、アナフィラキシーショックを起こした際の食事から選んだ、
合計15種類の食材で検査を行う。


すると...エビ、カニに陽性反応がでた。
そして、1時間後、アワビにもわずかに反応が。


診断ではアワビは「擬陽性」。
アワビアレルギーの疑いはあるもののこの結果だけでは判断できないという。


そこで、さらに詳しく調べるために後日、改めて別の検査を行うことに。
それはアレルギーと疑われる食品を食べて、アレルギー反応が現れるかを見る、
食物経口負荷試験という検査。


まずアワビを1枚、口にしてから30分ほど観察するが...なぜか変化がなかった。


20190212_04_03.png


その後、少量ずつ数回にわけアワビを食べ、ついには、まるまる1個を完食。
しかし...変化なし。彼女はアワビアレルギーではないのか?


ところが医師は、食物依存性運動誘発アナフィラキシーを疑っていた。
アレルギーの原因となる食べ物を摂取しただけではアレルギー症状がおこらず、
運動をすることで誘発されることがある。


桃子の場合、アナフィラキシーショックを起こした際に飲酒し、
食後3時間以内に、運動や入浴を行っていた。


そこで、同様の状況を作るため、ランニングマシーンを12分間おこなった。
そして運動してから2時間後、体にかゆみが出てきた。


さらに入浴をして1時間...気分が悪くなった。
この日現れた、2つの症状をみた医師は...やはりアワビが原因と特定。


実は、アワビやホタテなどの貝類にはトロポミオシンというタンパク質が
共通に含まれており、この成分が症状の原因になっている可能性が高いと考えられた。


彼女が今後、アナフィラキシーショックを予防するために...
もしアワビを食べてしまった場合、飲酒は控えること。
また、運動や入浴は食後4時間以上空けてから行うことが必要だという。

バックナンバー一覧