放送内容

2019年8月 6日 ON AIR

おデブのヒーローが抱えた病

『カレーライスは飲み物』という衝撃的なフレーズで、80年代後半お茶の間を沸かせたぽっちゃりタレントの1人、ウガンダ・トラ。本名、佐藤信一郎。


デブのヒーローとして慕われた彼だったが...2008年、55歳で突然この世を去る。


原因は『2型糖尿病』。
実は親しい芸人仲間でさえその病状を知らなかったという。


元々ミュージシャンとしてデビューした彼は、1979年グッチ裕三やモト冬樹らと組んだ"ビジーフォー"のドラムとして活躍。


そんな彼を一躍有名にしたのが...その巨体を使った大食いキャラ!
しかも運動神経抜群で、いわゆる動けるデブとしてその地位を確立。


そんな彼に異変が起き始めたのは、30代の後半。
実は、この頃から体が無性にだるく疲れが取れなくなっていた。


その上、異常なほどのどが渇く...これらは糖尿病のサインだった。
しかし、太っているから...ウガンダはそう考えていたのだ。


当時、ウガンダは食べる仕事も多く、早食い大食いなんでもやっていた。
そして、自身の店もオープン。
後輩芸人たちと連日連夜の飲み食い生活が続いていた。


だが36歳の時、ついに2型糖尿病と診断された。
1か月の入院。食生活の改善や薬による治療を開始するも、退院するとすぐに元の食生活に。これが糖尿病の恐ろしいところ。


食べたからといってすぐに体に影響が出るわけではなく、自覚症状を持ちにくいのだ。
その上、おデブのカリスマだった彼の元には、常に大食い仲間たちが集まり、放っておかなかった。


しかも...病気のことを周りに打ち明けていなかったのだ。
それは彼が、デブキャラのイメージを守りたいという思いがあったからだった。


プロとしての意地を貫いた人生


その後、ウガンダは15歳年下の女性と結婚。
結婚後はダイエットに励むなどしていたが...仲間と食べることはやめられなかった。


するとこんな異変が...足が黒ずみ、腫れてきたのだ。
原因は、高血糖による血流障害と神経障害。
足の血管が詰まったり、感覚が鈍り悪化すると足が壊死してしまう合併症の一つ。


そしてついに、突然のめまいが。
ウガンダは軽い脳梗塞を起こしていた。
この時、ウガンダの腎臓はまだ機能していたが、脳の血管に影響が出始めていたのだ。


退院後、入院の影響もあり仕事は減った。
これからどうなるのか?そんな不安を妻にまで背負わせたくない。
そう思ったのか、この頃から妻とも距離を置くようになる。


慢性的な疲れ...それでも受けた仕事はしっかりやった。
それがウガンダのプロとしての意地だった。


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だがこの頃から脳機能にも異変が...記憶や認知の障害が出始めた。
これも糖尿病による合併症の一つ。


動脈硬化はもちろん、インスリン不足により脳へエネルギーを取り込めず、神経細胞に影響が出始めていたのだ。
それはウガンダの体が限界まで蝕まれている事を示していた。


そして2008年5月。
朝起きると体が言うことを聞かなかった...必死で携帯をつかみ病院へ。
一報を受けたウガンダの弟が駆け付けると、まだ意識はあったが最悪の状態だった。


医師によると、この時ウガンダの体は肝臓や心臓にもダメージを受けており予断を許さない状況だったという。
そして入院からわずか3週間後、ウガンダは静かにこの世を去った。急性心不全だった。


ウガンダが亡くなると、仲間から兄貴と慕われた彼の命日には、今も多くの芸人仲間が集まり彼を偲んでいる。


最後までそのキャラを守り続けたウガンダ...きっと天国でも周りを明るくしているに違いない。

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