第514回日本テレビ放送番組審議会は、水曜ドラマ『anone』に関しての合評を行いました。

この番組は、『Mother』『Woman』に続く、坂元裕二オリジナル脚本の第三弾。「生きていくうえで一番大切なものは何か?」を考える作品です。 (リポート提出2名)

  • 達者な役者が、達者な脚本を演じ、質の高いオーラがにじみ出てくる感じがしたが、緊張感に少し置いていかれる部分があった。本ならば読みなおせるが、分からないままに進んでしまうので、坂元ドラマはもっと食い入るように見なければならないと思った。
  • この枠は幅があり、クオリティの高いドラマ枠として定着していると思うし、色んなものが出てくるのはいいと思った。1話だけだと分かりにくいので、ついていけない人も出るというリスクも伴うが、そのリスクを追いつつやる点は評価したいと思う。
  • 意欲作だと思ったが、1話の“つかみ”がどうかという気がする。見る方に負担があり、どういう話にするのか、どこに行くのか、掴みどころがない気がした。欧米の連続ドラマで習作とされるのは、1話目が抜群に面白いので、もう少し工夫できなかったのかと、ちょっと残念に思う。
  • 見るのに時間がかかって、一息で見られなかった。主人公が分かるまでの時間が長くて辛かったのと、出てくる人が多すぎた。1話目の前半に出てくる人の数は2人か3人がぎりぎりだと思った
  • 1話目を見ただけでは、何をコメントしようかと困ってしまった。温かい人間愛のようなものが続くと思うが、どこに進むか分からないので、しばらく見ていくしかないのかと思っている。
  • 社会の色んな問題を持つ人が登場して、深いが暗さが残ってしまう。水曜の夜10時で仕事を終えたサラリーマンが帰ってきてから見るのに、どうかと思ったが、最終的には、社会の問題を映し出すこういうドラマを放送するのもいいのではないかと思った。
  • 1話は非常に難しく、ついていくのが大変だったが、3話まで見るとサスペンス的な作りもあって、色々なことを考えさせられる番組になってきたと思った。また、田中裕子さんのしっかりした演技は、存在感があって非常にいいと思った。
  • 1話で主要な登場人物が全て出てきて脈絡なく行動するので、見る方は非常に疲れてしまう。映画だと最後まで見て理解できるが、テレビはチャンネルも変えられるし、“ながら見”もするので、視聴者が必ずしもついてこないという気がする。せっかくの作品なのにもったいないと思った。
  • どこかで見た物語、既視感のあるストーリーではなく、ちょっと見たことのない違和感さえある断片、というのが坂元さんのオリジナル脚本の特徴だとしたら、この作品も典型だと思う。エンターテインメントとして見る作品というより、考えさせる作品ではないかと思った。
  • 脚本の坂元氏は同志だと思っているし、リスペクトしかない。作風も捉え方も描き方も違うが、共通しているのは“地味な人間ドラマ”を書いているということ。今回も見事だと思ったので、じっくりと最後まで堪能したい。

この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。

「様々な悩みを抱える登場人物を分かりやすく描くため、説明的な要素をちりばめすぎて、視聴者を混乱させてしまったかもしれない。今後は、伝え方をもっと考えていきたい」