20周年記念作品 松本清張スペシャル
『一年半て』



須村さと子 * 浅野 ゆう子
須村 要吉 * 布施  博
岡島 久男 * 東  幹久
脇田 静代 * 中村 久美
小倉 美咲 * 円城寺 あや
神村 直美 * 立石 凉子
磐田 雅夫 * 草野  裕
益   田 * 平野  稔
益田 道子 * 池田 道枝
武   井 * 奥村 公延
武井 文子 * 五十嵐 美恵子
高森 浩介 * 林  隆三
高森たき子 * 丘 みつ子


企   画 * 酒井 浩至
原   作 * 松本 清張
(『一年半待て』より文藝春秋刊)
脚   本 * 那須 真知子
監   督 * 黒沢 直輔
チーフプロデューサー * 増田 一穂
プロデューサー * 伊藤 祥二
    * 加藤 教夫
音   楽 * 佐藤 允彦
法律 監修 * 加藤法律事務所
加藤次郎弁護士





 金沢市内の住宅地に住む須村さと子(浅野ゆう子)は、今日も夫・要吉(布施博)の暴力に耐えていた。さと子と要吉はローンで買った一軒屋で2人暮し。人間関係のトラブルから勤めていた銀行を辞めた長吉は、ネットを使ってのビジネスを計画したが失敗。その鬱屈した思いを暴力という形でさと子にぶつけていたのだ。

 まもなく、家のローンを支払う余裕がないと気付いたさと子は、家に引きこもる要吉を残し、生命保険のセールスウーマンとして働き始めた。先輩・神村直美(立石凉子)のアドバイスで“未亡人”ということにしたさと子は、懸命に働き始める。幼い頃、両親を亡くし苦労して育った経験は、さと子をヤリ手のセールスウーマンに変身させていった。  ある日、さと子は、勧誘のため訪れたダムの工事現場で、主任をしている岡島久男(東幹久)と知り合った。この岡島の肩入れでさと子の契約高は激増、金沢の支社は全国第3位に躍り出た。頑張るさと子を応援する岡島の思いは、相手が独り身だと知ったこともあり、いつしか愛に変わっていた。

 さと子の家では、相変わらず要吉の暴力が続いていた。家の中で、庭先で、何かしら理由をつけて、要吉はさと子に襲いかかった。その矛先は、さと子に優しくした上司にまで及び、“通り魔”に殴られた上司は、理由が分からぬまま病院に担ぎ込まれた。  そんな折、さと子は海外への赴任が決まったという岡島に旅行に誘われた。要吉との離婚を決めたさと子は、前々から相談している家庭内暴力の専門家で評論家の高森たき子(丘みつ子)を訪ねるが、話を切り出せない。岡島と共に故郷の能登に行ったさと子は、プロポーズされ一夜を共にしたのだった。

 やがて、岡島は出国――。事件はその後、半年程して発生した。さと子が離婚届を突きつけられてまたまた暴力を振るう要吉を、そばにあったブロンズ像で撲殺したのだ。事件を知ったたき子は、すぐにさと子を無罪にすべく動き出した。要吉の暴力で病院に行くはめになった事実、その暴力を偶然隣人が撮影したVTRの存在、要吉が入れあげさと子の金をつぎ込んだ飲み屋のママ・脇田静代(中村久美子)の証言など、全てがさと子に有利に働いた。

 そして、出た判決は、懲役二年、執行猶予三年。無罪こそ勝ち取れなかったものの、裁判はたき子が特別弁護人を引き受けた被告側の勝利であった。  だが、喜びに沸くたか子事務所に現れた岡島は、さと子がつぶやいた驚きの一言を明かした。さと子は、岡島にプロポーズされた際、「一年半待って…」と言っていたのだ――。