『取調室(16)』



水木 正一郎 * いかりや 長介
汐見 ユカ * 草笛 光子
松島 総一郎 * 井川 比佐志
三津田 孝司 * 米倉 斉加年
矢崎 幸之介 * 久保  晶
矢崎 久美子 * 佐藤 直子
西山捜査一課長 * 田中  健
荒巻警部補 * 渡辺  哲
八重垣刑事 * 斉藤 陽一郎
馬 島 刑 事 * 三貴 将史
水木 加代子 * 藤田 弓子
水木 直子 * 有森 也実


企   画 * 酒井 浩至
原   作 * 笹沢 佐保
(『暗鬼の旅路』より)
脚   本 * 那須 真知子
監   督 * 田中  登
チーフプロデューサー * 増田 一穂
プロデューサー * 雨宮  望
    * 伊藤  猛
    * 加賀 義二





 佐賀市内にある旅館の離れの一室で男の他殺死体がみつかった。被害者は市内で金融業を営む常連客の矢崎幸之介(久保晶)。現場には割れた高級ワインのビンが散乱していたものの場所が離れだったため、事件の目撃者はいない。しかし、矢崎の娘・久美子(佐藤直子)の話からすぐに容疑者が浮上した。汐見ユカ(草笛光子)――自ら会社を起こし120人もの従業員を抱えるまでに育て上げた汐見製作所の女社長である。

 捜査二課の報告によると、ユカは現在証券取引法違反の疑いで取調べを受けている最中。実は、3ヵ月前、ユカが雇った三津田(米倉斉加年)という男が画期的な発明を新聞発表。この新発明の真偽をめぐって株価が乱高下した。ユカは緊急株主総会で三津田に説明させようとしたが、三津田はその当日に失踪。多額の融資をして矢崎は、この金の即時返却とユカの退陣を要求していたのだ。

 捜査陣の調査によると、ユカの会社の専務・松島総一郎は(井川比佐志)ユカが4日前から関西方面に出張中だという。だが、自宅で見つかったユカのアリバイは曖昧。まもなく、現場にあったビンのかけらからユカと同じ型の血液が検出され、さらにその手にガラスで切ったような傷跡があったことから、捜査陣はついに逮捕に踏み切った。
 取り調べを担当した水木(いかりや長介)に対し、ユカは無実を主張して完全黙秘に入った。そして、この状況が動いたのは翌日のことであった。なんと三津田の転落死体が神奈川県の城ヶ島で見つかり、ユカが重要容疑者になっていることが分かったのだ。神奈川県警の調べによると、三津田と一緒に旅館に泊まったユカが目撃されており、現場にはユカの時計が落ちていた。

 捜査陣は、矢崎と三津田の死亡推定時刻がほぼ重なっていると知り愕然。しかし、水木は、城ヶ島の事件を知らされた時のユカのホッとした表情を見逃さなかった。
 完全黙秘から一転、堰を切ったように話し始めたユカは、詐欺の容疑がかかった三津田に自首を勧めたが、逆に無理心中を仕掛けられたと告白した。このユカの証言が正しいとすると、佐賀県警が見込み捜査で失敗したことになり、捜査陣は焦りを強める。

 そんな中、三津田の周辺を調べた水木は、ユカと3年前に自殺した三津田の妻との間に何か特別な関係があったと察知。さらに、ユカにのめり込んだ三津田が、離れた場所で同時刻に心中する計画をユカに持ちかけた可能性があることに気付いた。