部補次郎(18)
『母のここ



佃  次郎 * 西郷 輝彦
西候 伸子 * 栗原 小巻
吉川 雪江 * 山口 果林
後藤  弘 * 美木 良介
山下 恭子 * 中島ひろ子
山下  進 * 志村 東吾
西條  聡 * 芦田昌太郎
吉川 浩明 * 中原 丈雄
吉川みちる * 森  裕美
早田 公平 * 六平 直政
石堂  寛 * ベ ン ガ ル
前沢 純一 * 大河内 浩


企   画 * 酒井 浩至
原   作 * 五十嵐 均
脚   本 * 野口ゆかり
監   督 * 淡野  健
チーフプロデューサー * 梅原  幹
プロデューサー * 前田 伸一郎
    * 小橋 智子
    * 篠原  茂
音   楽 * 丸谷 晴彦





 不良グループとの喧嘩で捕まった若者、西條聡(芦田昌太郎)の姿を見つけた佃(西郷輝彦)は、複雑な思いにかられた。聡は、佃がかつて世話になった上司の息子で、父の死後、警察官の採用試験に合格したこともある男だった。だが、明るく輝いていたその夢は、1年前に起きたある交通事故で無残にも砕け散っていた。

 当時、母・伸子(栗原小巻)から、姉の山下恭子(中島ひろ子)が産気づいたとの連絡を受けた聡は、愛用のバイクを飛ばして病院に向かっていた。その時、横断歩道に飛び出した吉川みちる(森裕美)という女子高生とぶつかり死亡させてしまったのだ。
半年間交通刑務所に入った聡は、警察官になる夢も消え、荒んだ生活を送る。そんな聡の様子を見かねた恩師で、みちるの担任でもあった後藤弘(美木良介)は、気分転換のためにも北海道の牧場で働いたらどうかと勧めていた。

 みちるの1周忌に、伸子は、聡を伴って吉川家を訪ねた。だが、みちるの父・吉川浩明(中原丈雄)、母・雪江(山口果林)の怒りは未だに収まらずに2人は追い返される。苦悩し涙を流す聡と伸子を見た佃は、掛ける言葉も見つからなかった。

1週間程後、ビルの谷間で、聡の死体が見つかった。聡の周辺を調べた警察は、1年前の事故が原因の投身自殺とみる。だが、解剖の結果、聡は車にぶつけられて殺され、自殺に見せかけるためビルの屋上から投げ捨てられたと判明。佃らは、直ちに捜査に乗り出した。

 事件当時の関係者のアリバイは、それぞれ曖昧だった。聡の帰りを待っていたという伸子、生まれた子供と部屋にいたという恭子、2人で家にいたという吉川夫婦。恭子の夫で何かと聡の話し相手になっていた山下進(志村東吾)は大阪出張中。また、後藤は、渓流釣りに行き野宿していたと証言していた。

 そんな中、雪江が聡の葬儀に参列しているのを見つけた佃は、その心情の変化に注目。改めて1年前の事故の調書を引っ張り出した佃は、思わぬ事実を掴んだ。なんと、みちるは当時、妊娠3ヶ月。しかも、血が付いたナイフを握りしめていたのだ。雪江が聡の事件当時、1人で外出していたとの情報をキャッチした佃は、直ちに吉川家を訪ねた。

 雪江にみちるの妊娠の事実を確認した佃は、更なる事実を知り惜然となった。みちるが残した日記によると、“彼”に中絶を迫られて苦悩したみちるは、死を考えていた。つまり、みちるは自殺、そして、聡は交通事故の加害者ではなく、人生をめちゃくちゃにされた被害者だった可能性が浮上したのだ。

 娘の日記を読んで1人苦悩した雪江は、事件当日、聡に事故の状況を聞きに行った。みちるの日記を読んだ聡は、顔色を変え、事実を確かめたい、と話したという。“彼”という人物は一体誰なのか。日記をさらに読んだ佃は、そこに挟まっていた鳥の羽根で出来ている栞に注目して――。