霞夕子(23)
『すれ違った



霞  夕子 * 床嶋 佳子
多岐川夏子 * 金 久美子
多岐川良道 * 勝村 政信
多岐川道夫 * 本田博太郎
金子 正吾 * 織本 順吉
高安さなえ * 日下 由美
球磨功三郎 * 斉藤 洋介
薬王寺信吾 * 木下ほうか
大畑 技官 * 坂田 雅彦
佐久間検事 * 藤田 宗久
霞  友行 * 村田 雄浩
霞  瑞江 * 朝丘 雪路


企   画 * 酒井 浩至
原   作 * 夏樹 静子
『訪れ』より
脚   本 * 佐伯 俊道
監   督 * 猪崎 宣昭
チーフプロデューサー * 梅原  幹
プロデューサー * 佐光 千尋
    * 高橋 直治
    * 元信 克則
音   楽 * 糸川 玲子





 川崎市内で轢き逃げ死亡事件が発生、夕子が珍しくこの交通事犯を担当することになった。事件の被害者は、市内で金属加工の会社『多岐川製作所』を経営する多岐川道夫(本田博太郎)。県警交通捜査班は、現場に多くの遺留物があったことから、まもなく犯人の車を平成7年型のクリーム色の乗用車と特定し、シラミ潰しの“車当たり”を開始した。科捜研の技官の話によると、これは轢き逃げのお手本のような物証ばかり残されている事件。だが、全国にある同種の車4万8千台を調べたものの、なぜか事故車を特定することが出来なかった。

 夕子(床嶋佳子)と球磨(斉藤洋介)が訪ねた多岐川製作所は、川崎にある従業員数人の零細な町工場だった。道夫の事件の日は、会社の創立記念日で、ささやかな祝宴が行われたとのこと。従業員らの話を総合すると、道夫は祝宴で飲んで暴れた後、なじみのスナックに行こうとして事故に遭遇したらしい。だが、社内の妙な雰囲気に疑問を抱いて調べた夕子は、この会社の思わぬ人間関係に気付いた。

 多岐川製作所は、元々、道夫が亡父から引き継いだ会社。折りからの不況で経営に行き詰まった1年前、道夫は社長の責任を放棄して突然、失踪していた。残された道夫の妻・夏子(金久美子)は、話を知って会社に戻った道夫の実弟・良道(勝村政信)の協力で懸命に立て直し。従業員たちも2人の姿に打たれて、一丸となって工場再建に取り組んだ。ところが、ようやく光明が見え始めた1ヶ月程前、道夫が突然舞い戻り、悪びれもせず社長の座に居座ってしまったのだ。

 夕子らが関係者のアリバイを洗い始める中、道夫と仲が良かったスナックのママ・高安さなえ(日下由美)が興味深い話を明かした。同級生だった夏子と良道は、以前、恋人同士だったが、夏子が、跡取りとして会社を継ぐ道夫に乗り換え。夏子の父親が会社の従業員だったことから、当時は良縁といわれた。その結果、良道は道夫を憎み、父親と仲違いをして家を飛び出していたのだ。良道が犯人に違いない、と言い張るさなえ。確かに、夏子のアリバイは証明されたが、独身を通している良道のアリバイはなかった。

 夏子は結婚して8ヶ月程で男の子を授かったが、その子も3年前に病死。財産がない道夫が生命保険も掛けていなかったため、夏子に残されたものは借金だけという有り様であった。

 夕子は、“轢き逃げのお手本”といわれたこの事件の捜査が行き詰まったことに首をひねり、ひょっとすると計画的なものではないかと推理し、工場の関係者に犯人がいるのではないかと考えた。折りも折、良道と共にアリバイがなかった工場の老従業員・金子(織本順吉)が出頭して犯行を自供した。しかし、供述が曖昧な金子が末期がんであることが判明。工場内にいる真犯人をかばうために、金子が出頭した可能性が大きくなった。  そんな中、工場と隣り合わせに自動車の解体工場があると知った夕子は、この轢き逃げ死亡事件が、あるトリックによって巧妙に偽装された殺人だ気付いて―。