
診療所に、商店街でパン屋を経営する田辺良一(佐戸井けん太)が、苦い味噌汁を飲んで腹痛を起こしたとやってきた。待合室のトイレに入りスッキリした顔で出てきた田辺は、そのまま検査をせずに帰宅する。だが、翌日、田辺が家で見つけたという苦い白い粉を調べた神山(高橋英樹)は、それが腹痛の原因だと推理。粉がダイエットに効果があるといわれるニガリだと見破った。
田辺は、味噌汁を作った妻・亜希(清水由貴子)と二人暮らし。亜希の“犯行”を疑った田辺は、かつて亜希と共に修業したパン工房の仲間で、最近商店街を周っている生保レディー・小川聡美(根本りつ子)に相談。白い粉は、この聡美経由で、神山の元に届けられたのだ。
神山の質問に対し、亜希はニガリやダイエットのことを否定し、急に英恵(奈良岡朋子)がかつて行った子宮がんの手術の話を持ち出した。実は、12年前、英恵は、田辺と結婚して5年目、妊娠3ヶ月の亜希に子宮がんを発見。出産を望む亜希に対し、英恵は子供よりがん治療を優先するよう説得。結局、亜希も納得して手術を受けていたのだ。
まもなく、商店街に聡美を中傷する怪文書が流された。田辺と聡美が抱き合っているのが目撃されたことから、亜希が聡美に対抗してダイエットをし、さらに中傷したのではないかとの推理も浮上する。
そんな中、田辺の店を訪ねた神山は、脱水症状を起こして倒れている亜希を発見。急いで診療所に連れ帰り検査をした結果、亜希が利尿剤を使うなどかなり危険なダイエットをしていたことが明らかになった。亜希は即入院。だが、そこに刑事が訪れ、前夜、聡美が働いている保険会社の営業所で放火騒ぎがあったことを神山らに告げた。刑事は、聡美がパンの袋に仕込んであったカミソリでケガをしたこと、怪文書のことなどから、亜希を放火犯と見たらしいのだ。
亜希は、病室で、元をたどれば子宮を取った英恵が悪い、とワケの分からないロジックで英恵を責めていた。神山は、亜希が英恵を悪者にすることで夫の浮気に耐えていると察し、田辺を呼びつけて諌めた。神山は、子供がいなくても幸せな夫婦はいくらでもいる、ともう一度亜希とやり直すよう告げる。田辺は、神山の言葉に大いに反省するが、その後で、思わぬ事実を口にした。なんと、聡美が田辺の子供を妊娠したらしいのだ。
折も折、診療所に切迫流産の疑いがある聡美が救急車で搬送されてきた。英恵が診察したところ、妊娠の気配は全くない。どうやら、聡美は、田辺の心を引くため妊娠したとウソをついたらしいのだ。神山の質問に、聡美は自分が子宮内膜増殖症で、子宮の摘出を勧められている、と告白した。
だが、亜希に事実関係を伝えようとした神山は、「聡美の妊娠」の話を聞いたらしい亜希が病室からいなくなっていると気付いて―。
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