弁護士朝日岳之助(10)
『刑法第一三四条の壁』

<出演>   <スタッフ>
朝日岳之助 小林 桂樹 原  作 姉小路 祐
花木 理恵 黒田 福美 脚  本 峯尾 基三
小原 良枝 中島ひろ子 監  督 一倉 治雄
野元 昌彦 田付 貴彦 プロデューサー 大塚 恭司
草野 敏夫 笹野 高史 平松 弘至
朝日 達也 薬丸 裕英 企  画 長富 忠裕
小倉 信男 倉崎 青児
辻川圭一郎 下條アトム
五十嵐京子 水木  薫
五十嵐隆之 児玉 頼信


<あらすじ>

 弁護士・朝日岳之助(小林桂樹)が、都内で発生した傷害事件の弁護を担当した。事件の当事者は、社長を含め3人の小さな会社の社員同士。起訴状によると、年長の辻川圭一郎(下條アトム)が退職しようとした野元昌彦(田付貴彦)のアパートに乗り込み、ナイフで軽傷負わせていた。検察は、ナイフから検出した指紋、同アパートの住人・小原良枝(中島ひろこ)の目撃証言から、辻川を犯人と断定したのだ。

 辻川が無実を主張したことから調査を始めた朝日は、良枝と野元が異父姉弟確認。手当てに使用した薬品類などの購入時期などから、野元らが辻川を罪に陥れるためにわざと自分の身体に傷つけたと気付いた。

 ところが、程なく、辻川は公判で、なぜか自分が野元を刺したと全面的に罪状を認めてしまった。

 辻川の行動に首をひねった朝日はさらに調査を続行、この一件に3年前に発生したある殺人事件が絡んでいるとにらんだ。

 この事件は、良枝の実兄・小原信男(倉崎青児)が辻川と野元が働く会社の社長・五十嵐隆之(児玉頼信)を刺殺した、というもので、公判で罪を認めた小原は、刑務所内で自分の無実を主張していた。五十嵐の死後多額の保険金を入手した妻の京子(水木薫)は、辻川の会社の社長になっていた。

 朝日は、良枝と野元が、兄・小原に無実の罪を被せた辻川に、無実の罪を着せて復讐したと察知。直ちに、3年前の五十嵐殺しの洗い直しに入った。

 五十嵐殺しを担当し、小原を自供に追い込んだ刑事・草野敏夫(笹野高史)は、事件後に警察を辞めていた。その話を聞いた朝日は、冤罪に気付いた草野が良心の呵責に耐えかねて刑事から足を洗ったと直感した。朝日の息子・達也(薬丸裕英)、同じ事務所の弁護士・花木(黒田福美)らの調査によると、五十嵐殺しの目撃証人になった京子と辻川は事件発生前から愛人関係にあった。

 まもなく、五十嵐殺しの全資料を検討し直した朝日は、現場にあった靴跡から、小原の無実を確認。京子と辻川が真犯人だと断定した。

 だが、朝日に自首するよう勧められた辻川は、思わぬ言葉を吐いた。"刑法一三四条が自分を守ってくれる、法律は私の見方"と嘯いたのだ。この条項は秘密保持の義務で、弁護人は依頼者の秘密保持の義務がある、という内容。これを犯した場合、弁護士はその資格を失うともあるのだ。

 苦しみ悩んだ揚句、朝日は、小原の再審を勝ち取る決意を固めて─。