10歳の荻野千尋(柊瑠美)は、お父さん(内藤剛志)とお母さん(沢口靖子)に大切に育てられた、現代っ子。引っ越し先の町へ向かう道中も、新しい環境に溶け込むのが煩わしく、憂鬱そうな顔をしていた。そうこうするうちに、千尋たちを乗せた車はいつしか森の中へと迷い込み、そこで奇妙なトンネルの入口を発見する。入口を見て嫌な予感がした千尋は両親に「帰ろう」と迫るものの、両親は物珍しさにつられてズンズンとトンネルを中へと足を進めてしまう。好奇心旺盛な両親とは対照的に、臆病で自分の世界に閉じこもりがちな千尋は渋々二人の後を追いかけて行き、トンネルの出口を出る。すると、そこには広大な草原が広がっていた。そして、その更に先には人っ子一人いないひっそりとした町があり、食欲をそそる匂いが漂っていた。両親は美味しそうな匂いにつられ、その元となっているお店を発見する。そこにはこれまで見たこともないような御馳走が山のように並んでいた。御馳走を前にした二人は食欲に勝てず、ガツガツと料理を食べ始めてしまう――御馳走が神々のためのものだとは知らずに。なんと、千尋と両親は、神々が病気と傷を癒すためにやってくる温泉町へと迷いこんでしまったのだ。神々のための料理に手を出してしまった両親は呪に掛けられ、豚にされてしまう。
一人残され、途方にくれるも生きて行かなければならない千尋は、謎の少年ハク(入野自由)と出会い、彼の手引きの下、神々が集う湯屋「油屋」の経営者で町を支配する魔女の湯婆婆(夏木マリ)に会う。そこで千尋は湯婆婆に「名前」を奪われてしまう。千尋は「千」という名に変えられて、自分を見失っていく不安にさいなまれながらも、湯屋で働くことになる。「働かない者は豚にされる」。それがこの世界の掟なのだ。
これまで甘やかされて育ってきた千尋だけに、さまざまな困難に直面するが、ボイラー焚きの釜爺(菅原文太)や、同僚のリン(玉井夕海)、そしてハクたちに励まされながら、一生懸命働く。そして、怪我を負った河の神様の傷を癒したり、他人と上手にコミュニケーションをとることができないカオナシの心を解放したりと、意外な適応能力を発揮し始める。そんななか、ハクに大変な事が起こる・・・湯婆婆に命令され、彼女の双子の姉である銭婆(夏木マリ)から魔法の印鑑を盗んだハクが、銭婆の魔法により瀕死の重傷を負わされてしまったのだ。
千尋はなんとかハクを助けようと、自身の危険を顧みず、ある行動にでる――。




日本中が熱狂し、空前の大ヒットを記録した『千と千尋の神隠し』。その勢いはとどまるところを知らず世界へと飛躍し、第52回ベルリン国際映画祭コンペティション部門にて1963年以来、実に39年ぶりとなるグランプリを受賞。さらに、これまでコンペティション部門でアニメーション作品がグランプリを受賞したことのなかったベルリン・カンヌ・ヴェネチアの三大国際映画祭でも初の受賞という、大快挙を成し遂げた!!
そんな物語に生命を吹き込んでいるのが、声優たちの素晴らしい声の演技だ。主人公の千尋には、昨年『崖の上のポニョ』で7年ぶりにジブリ作品に出演した柊瑠美。湯屋で働いている謎の少年ハクを当時12歳だった入野自由が瑞々しく演じている。また、油屋を経営する魔法使いの湯婆婆には個性派女優の夏木マリが、湯屋の地階にあるボイラー室を切り盛りする六本腕の老人・釜爺には菅原文太。さらに千尋のお父さんには内藤剛志、お母さんには今作が声優初挑戦となった沢口靖子と、個性的かつ豪華なキャストが勢揃い。映画にリアリティを与えている。さらに、今作がアメリカで公開されるにあたり、『トイ・ストーリー』や『カーズ』の監督として知られるピクサー・アニメーション・スタジオのジョン・ラセターが自ら、宣伝活動や翻訳の総指揮を行っている。宮崎駿監督と交流があり同時に監督の大ファンでもあるラセターは、英語吹き替えをする際、可能な限りキャラクターの口の動きと、声優の声をあわせるようにしたという。このように、世界中に数えきれないファンがいるジブリ作品のなかでも、圧倒的な人気を誇る本作。その人気の秘密は、何度観ても飽きることのない物語の深さと、映像の美しさにある。その魅力あふれる映像を、今夜は40分拡大でお届けします!