イタリアのマルセイユ沖。嵐の中、漁船はウェットスーツを着用し、負傷したひとりの男(マット・デイモン)を引き上げる。男は銃弾をあびており、さらに皮膚にはスイスのチューリッヒ相互銀行の口座番号が記されたカプセルが埋め込まれていた。漁師の手により弾丸を取り除かれた男は、息を吹き返す。そして、自分に記憶がないことを知る。身元も経歴も分からないものの、語学に堪能で、強靭な肉体を持ち戦う術を身につけ、自己防衛本能に優れていることだけは確かだった。
男は自分が何者かを知るための唯一の手がかりであるチューリッヒ相互銀行へと向かい、貸金庫を開けてみる。すると、そこにはアメリカ合衆国のパスポートが入っており、名前はジェイソン・ボーン、現住所はパリと記されていた。名前と住所を見つけ、ジェイソン・ボーンは一安心するものの、他にも世界各国のパスポート、大金、そして自動拳銃も隠されていたため、本能的に自分はとても危険な状況にいることを察知する。ボーンは慌てて所持品をリュックに詰め込み、その場を立ち去る。
そのころ、CIA本部のテッド・コンクリン(クリス・クーパー)は苛立ちを隠せないでいた。なんと、殺したはずのジェイソン・ボーンが生きていたのだ! ボーンは自分が指示をした国際的な陰謀のすべてを知っている。生かしてはおけない。コンクリンは直ちにボーンに抹殺指令を下す。助けを求めてアメリカ大使館に逃げ込んだボーンだが、追手は銃を片手にボーンを探しまわる。そこで、偶然道に居合わせた女性、マリー・クルーツ(フランカ・ポテンテ)に、「1万ドル(約100万円)を即金で渡すからパリまで送って行ってくれ」と交渉する。さらに、パリに着いたら追加でもう1万ドル払うことを条件に、マリーはジェイソンをパリまで乗せていくことにする。しかし、パリの自宅にもコンクリンが送り込んだ殺し屋が現れる。もうパリにもいられない。こうしてジェイソン・ボーンと偶然にも巻き込まれてしまったマリーの逃走の旅……いや、ジェイソン・ボーンの真実の姿と、暗殺者の正体を追求する旅が始まる。
行く先々に殺し屋が現れ、常に命がけの逃走劇。
一体、ジェイソン・ボーンの背後にはどんな事件が隠されているのか?
そしてボーンとマリーの行く末は?



目を開けたらそこは嵐の大海原。銃で撃たれ、負傷していたところを漁船に助けられたのだが、男には記憶がまるでない。なぜ地中海の海に投げられていたのか、名前はなんというのか? しかし、男は強靭なまでの肉体を持ち、戦うすべを身につけていた。男にとって唯一の手がかりとなったのは、スイスのチューリッチ相互銀行にある貸金庫口座。そこで彼は、6カ国のパスポートと6つの名前、そして大金を見つける。パスポートに記載された名前から男は自分の名をジェイソン・ボーンだと知る――。
ロバート・ラドラム原作のミステリー小説「暗殺者」に惚れ込んだ、『スウィンガーズ』(96)や『Mr. & Mrs.スミス』(05)で知られるダグ・リーマン監督が、自ら飛行機を操縦してニューヨークからモンタナにあるラドラムの自宅まで映画化の権利を手に入れるため、直談判しに行ったという事実からも、この作品に込められた熱意が伝わって来るだろう。また人物を中心とした人間ドラマにしたいと考えていた監督は当初、ブラッド・ピットがこの役にふさわしいと思っていたという。しかし、ちょうどそのころ『スパイ・ゲーム』(01)の出演が決まっていたブラッド・ピットは、ジェイソン・ボーン役を演じることができず、次候補のマット・デイモンへと話がわたった。これが結果として大成功となる。それまで『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)、『プライベート・ライアン』(98)、『リプリー』(99)、『オーシャンズ11』(01)など、ナイーヴな青年を演じてきたマット・デイモンだが、いまいちその魅力が伝わりにくかった。それが、肉体改造に励み、寡黙でストイック、タフで男気あるジェイソン・ボーン役で、大脱皮をはかったのだ。ハンサムすぎてはいけないところも、役にぴったり。ボーン・シリーズはこの後、『ボーン・スプレマシー』(04)、『ボーン・アルティメイタム』(07)へと続き、世界的に大ヒットをおさめ、さらにマットは07年ピープル誌が選ぶ「最もセクシーな男」にも選ばれるという快挙を成し遂げている。撮影中も滞在しているホテルの鏡の前で何度もアクションの動きを練習したというほど、気合いの入ったスーパークールなマット・デイモンのアクションに、ヨーロッパ各地を縦断する撮影地。パリの街でミニ・クーパーとパトカーが繰り広げるカーチェイスシーンはなんとも圧巻。今宵はそんな、謎が謎を生む驚愕の物語と、迫力の映像をお届けします。これを観たら、ジェイソン・ボーンに惚れずにはいられない!