月明かりの射す夜。雲の狭間を進む飛行船の一室に、一人の少女・シータが囚われていた。その飛行船に突如、女海賊ドーラを首領とする空中海賊が乗り込み、一瞬にして船内は海賊一味とシータを軟禁していた黒めがねの男たちの戦いの場へと早変わり。銃撃戦へと発展してしまった。危険を察知したシータは銃撃戦のさなか、窓を伝って逃げようと試みるが、足を滑らせ転落。そのまま地表へと落ちて行った。
そのとき地上には、スラッグ渓谷にある鉱山町の見習い機械工として働く少年パズーが、空からふわふわと落ちてくる光と人の姿を発見し、あわてて後を追っていた。パズーが見た光は、少女シータの胸に輝くペンダントから発せられているものだった。
翌朝、パズーの家で目を覚ましたシータに、パズーは死んだ父親が見たという伝説の島の話をする。その島は空中に浮かぶラピュタ島と呼ばれる島で、莫大な財宝が眠っているのだという。しかし、そんな夢のような話を信じる者はなく、父は詐欺師よばわりされてこの世を去ってしまった。その父の汚名をはらすため、パズーはいつの日かラピュタを探しだそうと思っているのだった。そこへ、空中でシータを襲った海賊・ドーラ一味が乗り込んできた。彼らの目当てはシータのペンダントだった。パズーはシータを連れて家から逃げ出したものの、行く手には別の敵、黒めがねの男たちが国防軍の装甲列車に乗って待ちかまえていた。
海賊と黒めがね軍団に追われたパズーとシータは、逃げる途中で深い谷底へと落ちてしまう。しかし、ここでもまたペンダントが光を放ち、二人の身体は宙にふわふわと浮いていた。やがて深い廃坑の底に降りた二人は、鉱山師のポムじいさんと出会い、じいさんからペンダントの石は伝説のラピュタ帝国の人々だけが結晶化できる技を持っていた飛行石だと聞かされる。ペンダントの石は、ラピュタ帝国を空中に支えている飛行石だったのだ。しかし、ポムじいさんと別れて地上に戻った二人は黒めがねの男たちに囚われ、国防軍ティディス要塞へと連行されてしまう。パズーは地下牢に閉じ込められ、シータは軍の特務将校・ムスカに要塞の最下層の部屋へと連れて行かれる。そして、そこで空か落ちてきた正体不明のロボットを見せられる。そのロボットの胸にラピュタ帝国の紋章が刻まれていたことから政府はラピュタ帝国の存在を確信し、軍を使って探索に乗り出していたのだ。ムスカはシータの秘密を知っており、パズーの命と引き換えにラピュタ帝国の位置を示す呪文を教えるようにシータに強要した。どうしていいのか分からず、途方に暮れたシータは幼いころ祖母に教わった“困ったときのおまじない”を思い出し、それを口の中でつぶやいた。その瞬間、ペンダントにある変化が起きた――。
そのころ、理由が分からぬまま釈放されたパズーは、小屋で待ち伏せしていたドーラ一味とともにシータ奪還の旅に同行することにした。
シータたちが向かった先に、一体なにがあるのか? はたしてパズーとドーラ一味は、シータを助けだすことができるのか? 新たな冒険がいま、また始まろうとしていた。



映画公開から20年以上たった今なお、不動の人気を誇るスタジオジブリの名作『天空の城ラピュタ』。スウィフトの『ガリバー旅行記』に登場する天空の浮島をモデルに、宮崎駿原案で描かれたオリジナルの冒険アドベンチャーを今夜はお届けします!!
宮崎監督は本作の舞台や時代設定に関して当時の資料に、「時はSFの始祖ジュール・ヴェルヌ(1825〜1905)の活躍した時代。しかし、年代・場所は特定しない。地域としてはヨーロッパの何処かである」と綴っている。しかし、人気作品だけに、すでに何度も観ているファンは劇中、パズーの父親が撮影したラピュタ帝国の写真の下に“1868.7”と書かれていることに気づいているだろう。また、『風の谷のナウシカ』でナウシカといつも行動を共にしていたいキツネリスが「こんなところで登場!」といった、微笑ましいサプライズもあり。もちろん、ジブリファンの心を刺激する宮崎アニメお得意の魅力あふれるメカの数々も登場。一見無骨でハードなメカが、動いた瞬間に異様な存在感を放ちながら空中を舞う姿は、たとえメカファンでなくても目を離さずにはいられなくなってしまうほどリアルで迫力に満ちている。さらに言うと、今作で海賊の攻撃用飛行具として登場するフラップターは『天空の城ラピュタ』製作の6年前にすでに考案され、旅立つ日を待っていたという。