猫の恩返し

猫の恩返し

17歳の女の子が猫の国に迷い込んだ…!?愉快爽快なジブリ流青春ファンタジー

肩の力を抜いてちょっと笑って元気になれるお気楽なヒロイン・ハルの不思議な冒険

猫の恩返し ものすごい美人でもなく、部活や勉強に燃えているワケでもない。どこにでもいるフツウの女子高生が、ひょんなことから猫の国に迷いこんで大冒険! 「金曜ロードショー25周年記念月間」第4弾は、「借りぐらしのアリエッティ」と同じく、宮崎駿が自らの企画をジブリの若い才能に託した意欲作。全編コメディタッチで走り抜ける、青春ファンタジーだ。

高校2年生のハル(池脇千鶴)は、車にひかれそうになった猫を助けたのをきっかけに、猫の国に招待されることに。そこで待っていたのは、悩みとは無縁のお気楽な世界。このまま猫になるのもいいかも…とハルが油断した途端、彼女の身体は猫に変わり始めてしまう。このままでは人間に戻れない! 猫の男爵・バロン(袴田吉彦)の助けを借りて、ハルは現実世界に戻るための冒険に踏み出す!!

最初にこの企画を動かしたのは、「耳をすませば」に登場した猫の人形、バロン。気品漂うバロンのたたずまいに惚れ込んだ宮崎駿が、原作の柊あおいに“バロンを主人公にした続編を”と提案。バロンが様々なトラブルを解決する探偵モノ…というリクエストにこたえる形で柊が描き下ろしたのが、この物語なのだ。バロンをはじめ、デブ猫のムタ(「耳をすませば」ではムーンという名前で活躍)、アンティークショップの「地球屋」、そして物語の舞台となる聖蹟桜ヶ丘の街並みなど、「耳をすませば」との共通項にファンならワクワクさせられるはず。

猫の恩返し 女子高生が猫の国に迷い込むという「不思議の国のアリス」にも似たファンタジーにリアリティを与えているのが、ヒロイン・ハルのお気楽な性格。ちょっと現実逃避したいからといって、後先考えずに「猫の国もいいかもねー」と言ってしまえるその気軽さは、10代の少女ならでは。宮崎駿から企画を任された森田宏幸監督も、ノンキなハルの性格に背中を押されたという。声を演じた池脇千鶴のすっとんきょうな悲鳴の連続も、クセになりそうなくらい可愛らしい!

他にも、登場するキャラクターがとにかくユニークでキュート! 猫のバロンは何があっても動じない浮世離れしたカッコよさで突っ走るし、エキセントリックな猫王(丹波哲郎のアドリブが冴え渡る!)の傍若無人ぶりも可笑しい。バロンの助手的存在の猫のムタ(渡辺哲)&カササギのトト(斉藤洋介)のデコボココンビと、猫王と側近のナトリ(佐戸井けん太)&ナトル(濱田マリ)の掛け合いは、コントのようなテンポで笑わせる。そんなドタバタしたコメディはどこ吹く風…とマイペースに純愛を貫き通す、猫の王子・ルーン(山田孝之)とユキ(前田亜季)は、一服の清涼剤のように爽やか。

また、「ハウルの動く城」などジブリ組の常連になりつつある大泉洋(国語の教師役)をはじめ、「水曜どうでしょう」のメンバーが脇役で参加しているので、こちらもお聞きのがしなく。

猫たちの暴走にフラフラと巻き込まれていくハルの言動は、危なっかしすぎてヤキモキさせられる。でも、厄介な出来事も「ま、いっか」と受け止められる彼女の強さに、背中を押される人も多いはず。悩んだり考えたりしてないで、失敗してもいいからやってみるのもいいんじゃない? 肩の力を抜いてほんわかと前向きな気持ちになれる、ちょっと疲れた大人たちにも贈るほのぼのファンタジーだ。

ひょっとして私たち、カッコイイかもー!猫になりそこねた少女の自分探しの旅

猫の恩返し 17歳の高校生・ハル(池脇千鶴)は、ある日、トラックにひかれそうになっている黒い猫を救出。その黒猫・ルーン(山田孝之)は、おもむろに立ち上がるとハルに丁寧にお礼を言って去っていった。自宅に戻ったハルが母親(岡江久美子)にその出来事を報告すると、母親は幼い日のハルのエピソードを話し始める。お腹を減らした白い猫に自分のおやつを分けてあげたハルが、猫とお話しした、と無邪気に喜んでいたというのだ。

その夜。ハルの家の前に行列を組んだ猫たちが現れる。やってきたのは猫王(丹波哲郎)とその一行。秘書のナトリ(佐戸井けん太)とナトル(濱田マリ)によると、ハルが助けた黒猫は猫王の息子で、そのお礼を言うために猫王が直々にハルに会いにきたのだ。彼らは「お礼」と称して謎の目録をハルに手渡して帰っていく。

翌日、朝から奇妙なことが次々発生。ハルの親友・ひろみ(佐藤仁美)の家には大量のラクロスのスティックが届き、ハルの家の庭はネコジャラシだらけに。マタタビの匂いにまみれたハルは街中の猫に追い回され、学校の下駄箱にはネズミの山が! どうやら昨夜もらった目録に書いてあることを猫たちが実行に移しているようだ。残る項目はあとひとつ…。

そして放課後。疲れ切ったハルは、憧れの彼とその恋人の姿を目撃して大ショック。そこにナトルが現れる。ハルを猫の国に招待するというナトルの申し出を、「天国かもねー」と冗談でOKするハル。大喜びのナトルは、ハルの訂正など聞く耳を持たずに猫の国に戻って行ってしまう。途方に暮れたハルの耳に、「猫の事務所」に行くようにという女の子の声が届く。

猫の恩返し その声に導かれるように、ハルは大きな白い猫・ムタ(渡辺哲)のもとへ。ムタは人間の住む世界と少しだけズレた場所にある「猫の事務所・地球屋」にハルを連れていく。待っていたのは、過去にも数々の不思議な事件を解決してきたという事務所の主人・バロン(袴田吉彦)。ハルは早速バロンに事情を打ち明け、力を貸してほしいとお願いする。しかし、そこにナトルが率いる猫の大群が到着! ハルは、ムタと一緒に猫の国に連れ去られてしまう。

猫の国に到着すると、ハルの身体は猫と同じサイズに縮んでしまった。キレイな白猫・ユキ(前田亜季)から城には行かないように忠告されるが、ナトルに言われるままに豪華な衣装に着替えさせられるハル。猫王はハルをルーンの妃として猫の国に迎え入れるつもりで、早速お披露目パーティが行われるのだという。お姫様のようにチヤホヤされて、いい気分になったハルだが、自分の姿に気づいてビックリ。いつの間にやらシッポや耳が生えて、猫の姿になってしまっていたのだ。しかも頼みの綱のムタは、お菓子の海に溺れて意識不明。落ち込んだハルを慰めようと、猫王は次々に余興を披露するが、効果はゼロ。

そこに仮面をつけた紳士が颯爽と登場。彼に誘われるままにダンスを始めたハルは、カッコいい紳士の姿にウットリ。その瞬間、その紳士が「自分を見失うな」と彼女を諭す。そう、バロンがハルを助けに現れたのだ。バロンの手で正気を取り戻したムタが猫王の護衛と戦っている間に、バロンとハルはユキの手引きで城の外へ。

ユキによると、夜明けまでに城の向こうにそびえる塔を登り切れば、ハルの姿は元通りになり、人間の世界に戻れるという。猫王が仕掛けた巨大迷路へと突き進むハルとバロン、そしてムタ。しかし、諦めの悪い猫王は、次々に奇妙な攻撃を繰り出してくる。果たして、ハルは自分を取り戻し、無事に人間の世界に戻ることができるのだろうか?

猫の恩返し

キャスト

<ハル>
池脇千鶴
<バロン>
袴田吉彦
<ユキ>
前田亜季
<ルーン>
山田孝之
<ひろみ>
佐藤仁美
<ナトリ>
佐戸井けん太
<ナトル>
濱田マリ
<ムタ>
渡辺哲
<トト>
斉藤洋介
<ハルの母>
岡江久美子
<猫王>
丹波哲郎

スタッフ

<製作>
松下武義、氏家齊一郎、星野康二、
宮川智雄、相原宏徳、高井英幸
<企画>
宮崎駿
<原作>
柊あおい
(「バロン―猫の男爵」徳間書店刊)
<脚本>
吉田玲子
<音楽>
野見祐二
(徳間ジャパンコミュニケーションズ)
<主題歌>
「風になる」つじあやの
(ビクター/スピードスターレコード)
<製作プロデューサー>
鈴木敏夫、高橋望
<制作>
スタジオジブリ
<監督>
森田宏幸
<キャラクターデザイン/レイアウト>
森川聡子
<作画監督>
井上鋭
<美術監督>
田中直哉
<色彩設計>
三笠修
<映像演出>
高橋賢太郎(T2 Studio)
<録音演出>
林和弘
<整音>
住谷真
<制作プロデューサー>
田中千義