17歳の高校生・ハル(池脇千鶴)は、ある日、トラックにひかれそうになっている黒い猫を救出。その黒猫・ルーン(山田孝之)は、おもむろに立ち上がるとハルに丁寧にお礼を言って去っていった。自宅に戻ったハルが母親(岡江久美子)にその出来事を報告すると、母親は幼い日のハルのエピソードを話し始める。お腹を減らした白い猫に自分のおやつを分けてあげたハルが、猫とお話しした、と無邪気に喜んでいたというのだ。
その夜。ハルの家の前に行列を組んだ猫たちが現れる。やってきたのは猫王(丹波哲郎)とその一行。秘書のナトリ(佐戸井けん太)とナトル(濱田マリ)によると、ハルが助けた黒猫は猫王の息子で、そのお礼を言うために猫王が直々にハルに会いにきたのだ。彼らは「お礼」と称して謎の目録をハルに手渡して帰っていく。
翌日、朝から奇妙なことが次々発生。ハルの親友・ひろみ(佐藤仁美)の家には大量のラクロスのスティックが届き、ハルの家の庭はネコジャラシだらけに。マタタビの匂いにまみれたハルは街中の猫に追い回され、学校の下駄箱にはネズミの山が! どうやら昨夜もらった目録に書いてあることを猫たちが実行に移しているようだ。残る項目はあとひとつ…。
そして放課後。疲れ切ったハルは、憧れの彼とその恋人の姿を目撃して大ショック。そこにナトルが現れる。ハルを猫の国に招待するというナトルの申し出を、「天国かもねー」と冗談でOKするハル。大喜びのナトルは、ハルの訂正など聞く耳を持たずに猫の国に戻って行ってしまう。途方に暮れたハルの耳に、「猫の事務所」に行くようにという女の子の声が届く。
その声に導かれるように、ハルは大きな白い猫・ムタ(渡辺哲)のもとへ。ムタは人間の住む世界と少しだけズレた場所にある「猫の事務所・地球屋」にハルを連れていく。待っていたのは、過去にも数々の不思議な事件を解決してきたという事務所の主人・バロン(袴田吉彦)。ハルは早速バロンに事情を打ち明け、力を貸してほしいとお願いする。しかし、そこにナトルが率いる猫の大群が到着! ハルは、ムタと一緒に猫の国に連れ去られてしまう。
猫の国に到着すると、ハルの身体は猫と同じサイズに縮んでしまった。キレイな白猫・ユキ(前田亜季)から城には行かないように忠告されるが、ナトルに言われるままに豪華な衣装に着替えさせられるハル。猫王はハルをルーンの妃として猫の国に迎え入れるつもりで、早速お披露目パーティが行われるのだという。お姫様のようにチヤホヤされて、いい気分になったハルだが、自分の姿に気づいてビックリ。いつの間にやらシッポや耳が生えて、猫の姿になってしまっていたのだ。しかも頼みの綱のムタは、お菓子の海に溺れて意識不明。落ち込んだハルを慰めようと、猫王は次々に余興を披露するが、効果はゼロ。
そこに仮面をつけた紳士が颯爽と登場。彼に誘われるままにダンスを始めたハルは、カッコいい紳士の姿にウットリ。その瞬間、その紳士が「自分を見失うな」と彼女を諭す。そう、バロンがハルを助けに現れたのだ。バロンの手で正気を取り戻したムタが猫王の護衛と戦っている間に、バロンとハルはユキの手引きで城の外へ。
ユキによると、夜明けまでに城の向こうにそびえる塔を登り切れば、ハルの姿は元通りになり、人間の世界に戻れるという。猫王が仕掛けた巨大迷路へと突き進むハルとバロン、そしてムタ。しかし、諦めの悪い猫王は、次々に奇妙な攻撃を繰り出してくる。果たして、ハルは自分を取り戻し、無事に人間の世界に戻ることができるのだろうか?



ものすごい美人でもなく、部活や勉強に燃えているワケでもない。どこにでもいるフツウの女子高生が、ひょんなことから猫の国に迷いこんで大冒険! 「金曜ロードショー25周年記念月間」第4弾は、「借りぐらしのアリエッティ」と同じく、宮崎駿が自らの企画をジブリの若い才能に託した意欲作。全編コメディタッチで走り抜ける、青春ファンタジーだ。
女子高生が猫の国に迷い込むという「不思議の国のアリス」にも似たファンタジーにリアリティを与えているのが、ヒロイン・ハルのお気楽な性格。ちょっと現実逃避したいからといって、後先考えずに「猫の国もいいかもねー」と言ってしまえるその気軽さは、10代の少女ならでは。宮崎駿から企画を任された森田宏幸監督も、ノンキなハルの性格に背中を押されたという。声を演じた池脇千鶴のすっとんきょうな悲鳴の連続も、クセになりそうなくらい可愛らしい!