無精ヒゲにニット帽、サングラスに薄汚れた洋服でベンチに寝そべっている男・ハンコック(ウィル・スミス)。彼は鋼鉄の身体に超人的な怪力を持ち、空を飛ぶことができる不死身のスーパーヒーローだ。正義感の強い彼は、持ち前のパワーを使って数々の凶悪事件を解決してきた。今日も強盗事件が発生したと聞くや、バーボンの瓶を片手に空中を暴走! 彼なりのやり方で犯人を懲らしめるが、彼の通った後には惨憺(さんたん)たる破壊の痕跡が…。かくしてハンコックはスーパーヒーローでありながらも、ロサンゼルス市民から“クズ”扱いされ続けていた。
ある日。PR会社で働くレイ(ジェイソン・ベイトマン)の車が、線路の中央で立ち往生。そこに列車が突っ込んでくるが、ハンコックはレイの車と列車の車両を犠牲にしてレイを救出。列車の乗客をはじめ、目撃者たちはハンコックに非難を浴びせるが、お人好しのレイは彼の活躍に大感謝。お礼にハンコックを自宅に招待することに。
上機嫌のレイとは対照的に、妻のメアリー(シャーリーズ・セロン)は迷惑そうな表情を隠そうともしない。息子のアーロン(ジェイ・ヘッド)の前で汚い言葉を連発し、食卓でも酒瓶を離さないハンコックを冷たい目で観察し続けていた。
命を助けてもらったお礼に、レイはハンコックを“愛されるヒーロー”としてプロデュースすることを決意。レイの計画は、ハンコックの記者会見から始まった。会見でハンコックはこれまでロサンゼルスの街に与えた損害を謝罪し、いいヒーローに生まれ変わることを宣言。刑務所で罪を償いながら、“愛されるヒーロー”としての立ち居振る舞いをレイから学ぶことに。渋々ながらもレイの助言に従ううち、囚人たちからも受け入れられ、ハンコックの中で何かが変わり始める。
一方、ハンコック不在のロサンゼルスでは凶悪犯が暴れ回っていた。業を煮やした警察はハンコックに協力を要請。警察から必要とされてヒーロー活動に復活…それこそレイが待ちわびていた“愛されるヒーロー”へのステップだった。レイに教わった通り、ハンコックは謙虚な態度で現場へ。人質全員に爆弾を巻きつけて銀行に立てこもっていた強盗をあっさりと倒し、最小限の被害で人質の解放に成功。見物客からの熱い拍手を受けたハンコックは、ヒーローとしての活動も悪くないと思い始めていた。
その夜。レイとメアリーはハンコックの新しい出発を祝うディナーを開く。その席で、レイに問われるままに自分の過去を話し始めるハンコック。80年前、怪我をして運ばれた病院で目覚めた時からの記憶しか持っていないこと。自分の名前はおろか自分の年齢も、なぜ、そしていつから自分にスーパーパワーが備わっているのかも覚えていないこと。自分の正体を教えてくれる人間は、かつても今も現れないこと…。ハンコックの深い絶望に触れたメアリーの瞳には、一粒の涙が光っていた。そして、酔いつぶれたレイを送りに彼の家まで行ったハンコックは、勢いでメアリーとキスしてしまう。そのキスが、ハンコックの失われた記憶を大きく揺さぶるのだが…!
一方、ハンコックのせいで刑務所送りになった凶悪犯たちが、彼に復讐するために脱獄。そしてハンコックの身体には、ある異変が起こっていた。
メアリーの口から語られるハンコックの思いがけない宿命。そしてハンコックに迫る凶悪犯たちの影。自らの命と大切な人たちを守るため…運命に翻弄され続けてきた男が下す、哀しくも優しい決断の行方は?



超人的なスーパーパワーと人並み以上の正義感を持ちながらも、下品で粗野な性格で人から疎まれているヒーロー、ハンコック。常識を覆す“正義の味方”をウィル・スミスが熱演した、痛快アクション・ムービーの登場だ。
酒瓶片手に空を飛び、人の命を救うためならビルでも道路でも躊躇なく破壊しまくるハンコックのアクションシーンも見どころ。彼の“やりすぎ”状態を表現するため、オーバーでダイナミックなシーンが続くが、演じるウィル・スミスの飄々(ひょうひょう)とした演技と鍛え上げられた肉体美が、地に足の着いたリアリティを与えている。