旬太郎(大沢たかお)は丸の内の商社に勤めるサラリーマン。人事課長に昇進し、装飾デザイナーで恋人の明日香(田中麗奈)との結婚も考え始めている。しかし、のんびりとデートも楽しめずに仕事という名の雑用に追いまくられる日々に、自分を見失いそうなのも事実だ。
そんなある日の早朝、旬太郎は築地市場に向かって道路を爆走している明日香を発見。何事かと後を追うと、彼女は市場の中の仲卸「魚辰」へ…。実は明日香はその仲卸の一人娘で、父親・徳三郎(伊東四朗)が入院するにあたり店を手伝うことになったのだという。彼女のピンチを救いたいと、翌朝から「魚辰」を手伝うことにした旬太郎。明日香をはじめとする周囲の人が困惑する中、旬太郎の仲卸修業が始まった。
相手にするのは魚のプロ。「魚辰」の従業員の英二(伊原剛志)ら、自分の仕事にプライドを持っている市場の男たちは、旬太郎の空回りを冷ややかに受け止める。そんな視線をよそに、魚の味がわからなければ仕事にならないと、片っ端から店の魚を食べ比べることにする旬太郎。繊細な味覚を持つ旬太郎の舌と、一本気な彼の努力は少しずつ周囲に認められ始める。
一方、市場での肉体労働を終えて会社に出勤した旬太郎を待っていたのは、会社の大規模なリストラ。人事担当者として、入社当時からの恩人・金谷(大杉漣)に早期退職を勧告するに至り、旬太郎はひとつの大きな決断を下すことになる。
徳三郎の手術は成功し、無事に退院の日を迎えた。「魚辰」に顔を出した徳三郎の前に、旬太郎が現れる。会社に辞表を提出した彼は、「魚辰」で働かせて欲しいと徳三郎に頭を下げる。築地で育ち、父の仕事を素直に肯定できずにいた明日香は大反対するが…!
そんな旬太郎と明日香にまつわる噂は、築地市場中を一人歩き。勘違いが勘違いを呼び、遂には明日香と英二が結婚するという話にまで発展してしまう。その噂を確かめようとした旬太郎は、英二から思いがけない事実を聞かされることに。
一方、明日香と英二が結婚すると勘違いした小料理屋の女将・千秋(森口瑤子)は、複雑な思いにとらわれていた。彼女は英二に思いを寄せているのだが、青果店の十四郎(鈴木一真)からしつこくプロポーズされ続けていたのだ。そして千秋は遂に結婚を決意してしまう。
その頃、素人が触った魚を売ることはできない、という徳三郎の言葉を受け、旬太郎は銚子の港で働くようになっていた。彼の努力を影で見続けていた英二は、旬太郎を自分の手で育ててみたいと徳三郎に直訴する。
明日香のため、徳三郎のため、そして英二と千秋のために、ひたすらに走り続ける旬太郎。彼は大切な人たちを幸せにすることができるのだろうか。そして旬太郎自身も、本当の幸せにたどり着くことができるのだろうか…?


築地の魚河岸という独特の文化を持つ世界で、丸の内に勤めるエリートサラリーマンが悪戦苦闘!「ビッグコミック」に連載中の人気コミックを、大沢たかお主演で映画化。温かく、どこか懐かしい、人情味のあふれるヒューマン・ドラマだ。
行動力にあふれ心から「食」を愛している主人公の旬太郎を、大沢たかおが好演。チャキチャキの江戸っ娘ぶりが痛快な田中麗奈、渋い「魚辰」の先輩・英二を演じる伊原剛志、彼が思いを寄せる千秋役の森口瑤子。まさに適材適所の配役が絶妙! そして厳しくも温かい「魚辰」の二代目を演じる伊東四朗と、その親友役の柄本明。2人の江戸弁丸出しのやりとりは本物の喜劇の舞台のようで、見ているだけで幸せな気持ちにさせられるはず。