クリス(ウィル・スミス)は、医療機器のセールスマン。父親を知らずに育った彼は、息子のクリストファー(ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス)だけには、父として惜しみない愛情を注ぐことを心に決めている。毎日サンフランシスコのチャイナタウンの保育所まで彼を送っていく間に、2人で会話する時間は彼にとって宝物だ。しかし今日もセールスは空振り、家賃は2カ月も滞納中。日々の生活費はパートナーのリンダ(タンディ・ニュートン)が稼いでいたが、彼女の忍耐も限界で、2人の間にはいさかいが絶えない状態だった。
ある日。いつものように商品を持って街を歩いていたクリスの目に、真っ赤なフェラーリが飛び込んでくる。「成功」が服を着て歩いているかのようなその車の持ち主に、思わず声をかけてしまうクリス。証券会社に勤務しているという彼から、会社の研修制度に合格すれば同じ仕事に就けると聞き、クリスは一大決心。自分にも成功の道が開けているかもしれない。高卒だが勉強には自信があった彼は、ある証券会社の養成コースに願書を提出する。
得意のルービックキューブを駆使して、採用担当のトゥイッスル(ブライアン・ハウ)に自分の長所を売り込むことに成功したクリス。その甲斐あって面接に進むことが出来たが、彼との将来に希望が持てないとリンダはクリストファーを連れて出て行ってしまった。息子には父親が必要だとリンダを説得し、クリストファーを家に連れ帰るクリス。心機一転頑張ろうとしている矢先、家主から家賃の滞納で家を追い出され、その上駐車違反の罰金不払いのせいで、警察で一晩拘留されることに。
翌日は証券会社の面接の日。時間ギリギリで釈放されたクリスは、着の身着のままで面接会場に飛び込んだ。Tシャツにジーンズ、顔にはペンキが付いた彼を見た面接官たちに不穏な空気が漂う中、持ち前の話術でなんとかその場を乗り切るクリス。見事研修制度に合格するが、研修の半年間は無給で働かなければならないと告げられる。
一度は研修を受けるのを辞めようとするクリスだが、やはり夢は諦められなかった。彼はクリストファーを連れて安モーテルへ引っ越し、新生活がスタート。分厚い教科書を手に専門用語と顧客への営業方法を実戦で身につけていく厳しい研修生活。研修の講師や上司たちから容赦なく科せられる雑用もこなさなければならない。その合間を縫って、クリスはクリストファーを連れて病院をセールスに回り、売れ残った医療機器をお金に変えていった。4カ月後、遂に買い取った医療機器が完売。研修が終わるまでの生活費の目処が立ったと安心した途端、彼のもとに滞納していた税金を口座から引き落としたという無常な通知が届いた…。
無一文になりモーテルも追い出されてしまったクリス父子。行く当てもなく、結局その夜は駅のトイレで一晩を過ごすことに。翌日から、研修の時間をやりくりしてその日の夜を過ごす場所の確保に奔走するハードな日々が始まる。クリストファー1人なら、受け入れてくれる施設はあったが、クリスは1日でも彼を手放す気はなかった。毎日寝床を転々としながらも、正社員採用の道を目指して、すべての力を研修に捧げるクリス。しかし、気持ちに余裕がなくなってクリストファーと心がすれ違うことも多くなり…。
愛する息子を幸せにしたい、その一心で走り続けるクリス。彼はクリストファーの、そして自らの"本当の幸せ"を手に入れることができるのか?


どんな境遇に陥っても希望に向かってガムシャラに努力し続け、アメリカンドリームを手に入れた一人の男。ウィル・スミスが実話に基づいた人間ドラマをリアリティ満点に体現。本作が映画デビューとなるウィルの実の息子・ジェイデンの好演も光る、父と息子の愛の物語だ。
主演は、「メン・イン・ブラック」「ALI アリ」など身体を張ったアクション映画のイメージが強いウィル・スミス。外見はモッサリしているが、苦しい状況でもユーモアを忘れない憎めないキャラクターを作り上げた。ピュアな笑顔と泣き顔でキュンとさせるジェイデン・クリストファー・サイア・スミスも要注目。そして、クリスのパートナー・リンダには、オスカー受賞作「クラッシュ」などのタンディ・ニュートン(吹き替えは杉田かおるが熱演!)。不真面目ではないが不器用すぎるクリスを長年支え続けてきた彼女の気持ちの糸が切れるまでの心の揺れ動きは、すべての女性の心にグッと来る何かがあるはず。