チャーリー少年(フレディー・ハイモア)は、両親と2組の祖父母の7人家族。街のはずれにある、傾いた家に住んでいる。歯みがき粉工場で働いていたおとうさん(ノア・テイラー)は、失業。寝たきりの4人のおじいちゃん&おばあちゃんは1台のベッドに寄りそって寝ていて、おかあさん(ヘレナ・ボナム=カーター)は切り詰めた食費の中から、毎日のスープを作ってくれる。それでも、お腹いっぱいにはならないけれど家族全員で食べる夕食は温かく、チャーリーは幸せだった。今日も、世界中で人気のウォンカ・チョコレートの工場で働いていたというジョーおじいちゃん(デイビッド・ケリー)が、昔話を聞かせてくれていた。
ウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)というお菓子作りの天才が経営するチョコレート工場は、チャーリーの家のすぐ近く。絶品の板チョコをはじめ、熱で溶けないチョコレートや大きくふくらむチューインガムなど次々にヒット商品を生み出してきた、世界中の子供たちの憧れの的だ。しかし秘密のレシピをライバル会社に奪われ、突然工場の門を閉鎖。それ以来15年間、商品は発売され続けているが、誰ひとりとして工場に出入りした人間はいなかった。
そんな中、ウォンカ氏から素晴らしいメッセージが届けられる。ウォンカ・チョコに同封された「ゴールデン・チケット」を手に入れた5人の子供たちを、工場に招待するというのだ。しかも、そのうちの1人は最後に特別なご褒美を受け取ることができるという。世界中でゴールデン・チケットを巡る争奪戦が繰り広げられる中、チャーリーも誕生日を心待ちにしていた。彼は年に1度、誕生日の日だけウォンカ・チョコを両親からプレゼントしてもらえるのだ。
最初にチケットを手に入れたのは、口の周りがチョコだらけの肥満少年・オーガスタス(フィリップ・ウィーグラッツ)。ウォンカ・チョコを食べて食べて食べまくって、チケットを引き当てた幸運な少年だ。2人目は、欲しい物は大金持ちの父親にねだって手に入れてきたベルーカ(ジュリア・ウィンター)。彼女は金にものを言わせてチョコを買い占め、チケットを手に入れた。3人目は極度に負けん気が強いバイオレット(アナソフィア・ロブ)。数々の選手権で優勝し続けてきた彼女は、"最後の一人"に選ばれる気満々。そして数学の天才でゲームおたくのマイク(ジョーダン・フライ)が、統計学を駆使して4枚目のチケットをゲットした。
誕生日のプレゼントでも、ジョーおじいちゃんがヘソクリで買ってくれたチョコでも、ゴールデン・チケットが当たらなかったチャーリー。しかし、道端に落ちていたお金が彼に幸運をもたらした。夢にまで見たゴールデン・チケットを手に入れた彼は、一度は家族のためにチケットをお金に変えようとするが、家族の説得を受けて工場に向かうことにする。
あまりの幸運に突然歩けるようになったジョーおじいちゃんと一緒に、工場の門をくぐるチャーリー。彼の前に現れたのは、青白い顔に営業スマイルを張り付けた工場長のウォンカ氏。子供もお菓子も好きではないように見える彼は、彼なりの方法で精いっぱい子供たちを歓迎する。
ウォンカ氏が子供たちを最初に案内したのは、チョコレートの川が流れる工場の中核。キャンディーの木やミント・シュガーのお花など、そこはまさにお菓子の家ならぬお菓子の庭。感動する子供たちは、そこで働くウンパ・ルンパと呼ばれる一族と対面。ウンパ・ルンパは工場の全てを支える、ウォンカ氏の右腕的存在らしい。
工場内でもワガママ放題の子供たちを待ち受けるのは、ウォンカとウンパ・ルンパ氏のオシオキ。果たして彼らは無事に工場から出ることができるのか? 最後の1人に選ばれた子供に待ちうけている“特別なご褒美”とは? そして時折遠い目を見せるウォンカ氏が心に抱く暗闇の正体は? 誰も想像しない仕掛けが待つ工場を舞台に、チャーリーの冒険がはじまった!


ジョニー・デップ主演×ティム・バートン監督。映画好きをトキメかせる名コンビが5度目のタッグを組んで描き出したのは、雪の降りしきる街にそびえ立つお菓子工場の世界。「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉」が5月20日から公開になるジョニー・デップが、キモカワ系キャラを熱演したシニカルなのに心温まるファンタジーだ。
チョコレート工場を舞台に展開するのは、"悪い子はオシオキされる"という世界中の昔話に共通した"教え"。大食い、貪欲、自己中心的…おおげさにカリカチュアされて思わず顔をしかめたくなるほど小憎たらしい子供たちの人物像と、彼らを待ち受けるオシオキがユニークでダークで、思わずニヤリ。そして映画に深みを与えているのは、ウォンカと彼の父親との哀しい過去。「両親」という単語を発音できないほどのトラウマを抱くウォンカが、素直なチャーリーに導かれるように少しずつ心を開いていく。ジョニー・デップが垣間見せる少年のような繊細な表情に、母性/父性本能がくすぐられっぱなしだ。