トーマス・アンダーソン(キアヌ・リーブス)は、IT企業に勤めるコンピューター・プログラマー。夜は「ネオ」というハンドルネームでハッキングを繰り返し、ネットの裏社会で数々の犯罪に手を染めていた。ある日、彼は伝説のハッカー“トリニティー”から接触を受ける。「白いウサギを追え」というそのメッセージに従ってあるクラブを訪れたネオの前に、美しい女性・トリニティー(キャリー=アン・モス)が現れた。彼女はネオがずっと追いかけ続けている「マトリックスとは何か?」という疑問の答えをほのめかして去っていく。
翌日、ネオのオフィスに小包が届けられる。中に入っていた携帯電話を手に取ると、その直後、ベルが鳴った。電話の相手はネオが探していた男・モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)。モーフィアスは、ネオの逮捕に現れたエージェント・スミス(ヒューゴ・ウィービング)ら黒服の男たちから彼を逃がそうとするが、計画は失敗。ネオは連行されてしまった。
エージェントの手で想像を超えた体験をさせられたネオだが、目覚めるとそこは自分の部屋。あれは夢だったのか…自問するネオに再びモーフィアスから連絡があり、ついに彼と対面。そこでネオは究極の選択を迫られることになる。「マトリックス」は何かを知り、真実をその目で見るか、すべてを忘れて今まで通りの生活を続けるか。ネオは迷わず、真実を知る道を選ぶのだが…。
ネオが“転送”されていった世界は、彼がこれまで知っていた世界とはまるで違っていた。メカニックは前時代の遺産のような古めかしいフォルムで、さっきまで黒いピカピカのコートをまとっていたモーフィアスやトリニティーがボロキレのような服を身につけている。そこで彼は衝撃の「真実」を知らされる。知能を持つコンピューターと人類の間で起こった戦争に、人類は敗北。それ以来、人は機械の完全な支配下に置かれて、機械を動かすための電池として生かされているのだという。ネオがこれまで知っていた「世界」は、機械の手で脳に送りこまれていた仮想現実=マトリックスだったのだ。
ゲリラ的にマトリックスに潜入し、人類を機械の支配から解き放つための戦いを続けてきたモーフィアスやトリニティー。彼らが信じる予言によれば、「ネオ」こそが人類を救う「救世主」なのだという。ネオの登場に沸くゲリラ軍だが、現実世界を生き延びている人々が住む「ザイオン」を破壊するため、機械たちも現実と仮想世界の両方から彼らのアジトを狙っていた。
あまりの衝撃に言葉を失うネオだったが、翌日からハードな訓練が始まった。柔術、カンフー、テコンドー…次々に武術をインストールして自分のものにしていくネオ。モーフィアスとの修業の中で、彼は自分を解き放つ術を学んでいく。そんなネオに強く惹かれていくトリニティー。一方トリニティーに恋心を抱いていたサイファー(ジョー・パントリアーノ)は、遂に仲間を裏切る決意を固め、エージェントと接触していた。
そんな中、モーフィアスはネオを予言者(グローリア・フォスター)に会わせるために、満を持してマトリックスに侵入。しかし予言者の言葉は期待していたものとは違っていた。そしてサイファーの裏切りで彼らの居場所を突き止めたエージェントたちが、モーフィアスを捕獲。仲間を失いながらも一度は現実世界に戻ったネオとトリニティーは、決死の覚悟でモーフィアス救出作戦に挑むことに!
不死身のエージェントたちと、命がけのバトルを繰り広げるネオとトリニティー。果たしてネオは本当に救世主なのか? 白熱の死闘の末に待っている衝撃の「真実」とは…!


黒ずくめのクールな衣装に身を包み、キアヌ・リーブスが超絶アクションで魅せる!! サイバーパンクと神話や聖書を融合させた複雑な世界観と、カンフー・アクションと最新VFXが作り上げた想像を超える映像美。新しすぎる体験で世界中を熱狂させ、その後の映像表現をガラリと変えたと言っても過言ではない大ヒットSFアクションだ。
なによりも圧倒的なのは、VFXとカンフーのワイヤーアクションをミックスした斬新すぎる映像表現。銃弾を避けたネオの周囲をカメラが360度回ったり、壁を自由自在に走ったり。飛んでいく弾丸の軌道や、ビルの表面が大きく波打ち粉々に砕ける様をスロー映像で見せたり。それまでアニメでしかありえなかった“重力を無視したアクション”をふんだんに炸裂させた映像の力は、公開から10年以上経った今でも圧巻だ。「マトリックス」の世界では映像にグリーンのフィルターをかけて、ひと目で現実世界との違いを見せるといった小技も効いている。とにかくすべてのカットから「新しい映像体験をさせてやる!」というウォシャウスキー兄弟の意欲がほとばしっていて、映画を面白くするのは想像力だという基本を改めて実感できる。