これといった取り柄もなく学校では存在感がないどころか、ともすると気の弱さが災いしてイジメられてしまう地味な高校生の幸雄・通称コユキ(佐藤健)。変わり映えしない毎日を送っていた彼が外国人にいじめられていた犬を助けようとしていた時、思いがけない助っ人が現れた。彼の名は南竜介(水嶋ヒロ)。コユキが助けようとした犬・BECKの飼い主だという彼は天才的なギターのテクニックを持つバンドマンだった。彼の目標は「最高のバンドを作ること」。それはNYで暮らしていた頃の仲間で、現在は人気バンド「ダイイング・ブリード」のギタリストであるエディと交わした約束だった。釣り堀で住み込みのバイトをしている竜介の部屋を訪れたコユキは、竜介の妹の真帆(忽那汐里)と出会い、同時に竜介が愛する音楽の世界の深さを垣間見る。BECKを助けたお礼にと竜介のお古のギターを譲り受けたコユキは、ギターのチューニングという初歩の初歩からギターの練習を始めることに。
自分のバンドを作るという夢に向かって走り出した竜介は、引く手あまたの実力派ベーシスト・平(向井理)と、ラッパーとしては向かうところ敵なしの千葉(桐谷健太)とともにバンドを結成。バンド名は犬の名にちなんで「BECK」と名付けられた。一方、コユキは転入生の桜井裕志・通称サク(中村蒼)と仲良くなり一緒にギターを練習するようになるのだが、そんなある日、ヤンキー軍団に言いがかりをつけられてギターを破壊されてしまった。自分のギターが壊されたと知った竜介は大激怒。落ち込むコユキを見かねた釣り堀の常連客・斎藤(カンニング竹山)は、自分の工場での労働と引き換えにギターの修理とレッスンを買って出ることに。放課後は斎藤の工場で超ハードな肉体労働をこなした後、夜遅くまで斎藤によるギターのスパルタ教育を受けるコユキ。そんなコユキの不器用さと一所懸命さに真帆は少しずつ惹かれていき、コユキも真帆の天真爛漫な魅力に恋心を抱くようになっていった。
斎藤のお陰でコユキのギターの腕前が見違えるほど上達したある日、コユキは修理を終えたギターを手に竜介のもとへ。まだコユキのことが許せない竜介はコユキを追いだすが、サクの取りなしを受けて事情を理解。コユキの指先にできた弦ダコを見て彼の努力を認め、目の前で一度プレイさせてみることにする。コユキのギターを聴いて手ごたえを感じる竜介と平、千葉。試しにギターに合わせてリズムを取っていたサクにドラムを叩かせてみると、サクは思わぬ才能を発揮する。2人が作りだす音にバンドの未来を感じた竜介は、2人をBECKのメンバーに指名。ここに新生BECKが誕生した!
練習とライブを重ねて少しずつ成長していくコユキと、バンドとしての結束力を高めていくBECK。ある日、千葉の声とは合わないしっとりとしたバラードを作ってきた竜介を前に、それが真帆のことを歌った曲だと知ったコユキは、自分に歌わせてほしいとボーカルを申し出る。そしてコユキが歌い始めた瞬間…バンドメンバーの脳裏に「神の啓示」としか思えないようなハッキリとしたビジョンが現れた。それは、ロックバンドなら誰もが出演を夢見るロックフェス「グレイトフル・サウンド」のステージ上にいる自分たちの姿だった!
そんな中、ダイイング・ブリードが来日。コユキの声を絶賛したボーカルのマットによりステージに上げられ、一緒にプレイすることになるコユキと竜介。それを機に注目を集めたBECKは見事「グレイトフル・サウンド」への出場権を手に入れるが、同時に竜介が愛用しているギター「ルシール」にまつわる事件も勃発して…! 「グレイトフル・サウンド」出場はおろか、バンド解散の危機に追い込まれるBECK。メンバーの心もバラバラになり…。果たして彼らは再び結束を取り戻し、夢のロックフェスのステージに上がることができるのだろうか!?


何の取り柄もないフツウの男の子が、ある天才ギタリストとの出会いをきっかけに音楽の才能に目覚め、かけがえのない仲間を得て夢を手に入れていく…。若者を中心に爆発的にヒットし、サウンドを的確に「画」で表現する独特の手法がミュージシャンからも圧倒的に支持されているハロルド作石によるコミック「BECK」。映像化は不可能と言われたその世界観を見事に映し出し、水嶋ヒロ、佐藤健、桐谷健太、中村蒼、そして向井理というイケメンたちがフレッシュな魅力を炸裂させた映画「BECK」がテレビ初登場!
髪型や衣装、靴や持っている楽器まで、「ないものは(原作通りに)作って再現した」と堤幸彦監督が豪語するだけあって、マンガ的に誇張されたそれぞれのキャラクターが、決して立ち止まらずにロックのビートで駆け抜ける物語にジャストフィットしている。そして原作のハロルド作石の提案によって実現したのが、天性の美声を持つコユキのボーカルを「映像で魅せる」という映画史上前代未聞の奇抜な演出だ。ボーカルから想起される空や水、風といった自然現象の美しさで声を“描く”というマンガ的なアプローチには、「その手があったか!」と思わず目からウロコが落ちまくる。