山間の小さな村・ゴンドアでヤクとともに暮らしていた一人の少女・シータ(横沢啓子)が、国防軍の飛行船で連れ去られた。その飛行船に突然、ドーラ(初井言榮)という女性が率いる空中海賊一家が乗り込んでくる。激しい銃撃戦が繰り広げられる中、彼らから逃れようとしたシータは、飛行船から滑り落ちてしまった…!
ところ変わって、ここは寂れた炭鉱の町。両親を亡くし見習いの機械工として働くパズー(田中真弓)は、今日も残業中だ。夜食を片手に現場に戻ろうとしていたパズーの目に、空から降ってくる少女の姿が映る。彼女の胸に光る青いペンダントが、彼女を空中に浮かばせる力を持っているようだ。咄嗟に彼女を抱きとめたパズーは、一人暮らしの家に彼女を連れて帰る。
翌朝。目覚めた少女・シータは、パズーの家で空中に浮かぶ城を収めた一枚の写真を発見する。それはパズーの父親が撮影した「ラピュタ」と呼ばれる伝説の城。その事実を誰からも信じてもらえず失意の中で死んでいった父の名誉を取り戻すため、ラピュタを見つけるのがパズーの夢だった。そこに、ドーラ一家の海賊たちがシータを探しにやってくる。親方(糸博)の力を借りて海賊の目をごまかし、軽便鉄道の機関車に助けを求めるパズーとシータ。そんな彼らの前に国防軍の装甲列車が現れる。とっさに逃げ出すシータを追うパズーを目がけて、海賊のオートモービルが突進。その衝撃で線路が崩落し、パズーとシータは一気に谷底へ…。一巻の終わりかと思ったその時、シータのペンダントが輝きだし2人の身体はふわりと宙に浮いた。
そのまま廃坑の底に降りた2人は、鉱山師のポムじいさん(常田富士男)と出会う。石とともに生きてきた彼から、シータのペンダントが飛行石の結晶であること、それを結晶にする力を持っていたのはラピュタ人だけであることを教えてもらうパズーとシータ。ラピュタが実在していたと胸を躍らせるパズーだったが、その直後、2人は国防軍の特務将校・ムスカ(寺田農)によって、要塞に監禁されてしまう。
要塞の地下室で、かつて空から落ちてきたという正体不明のロボットを見せられるシータ。そして、ムスカから自分が圧倒的な軍事力を持つラピュタ帝国の正当な王位継承者だと聞かされた彼女は、パズーの釈放と引き換えにムスカへの協力を約束。金貨を握らされて外に放り出されたパズーは悔しさを胸に家に帰るが、彼の帰りを待ちわびていたドーラから一喝される。
そんな中、軍がラピュタ発見のため巨大飛行戦艦を発動させると知ったドーラは、要塞を襲うことを決意。パズーはドーラを拝み倒して彼らの小さなはばたき機・フラップターに乗り込んだ。同じ頃、途方に暮れたシータが「困った時のおまじない」を口にした瞬間、飛行石が強烈な光を放ちはじめる。その光の射す方向にこそ、ラピュタが存在するのだ。しかしその呪文の力でよみがえったロボットが、王であるシータを助けるために要塞を内側から破壊。ロボットを止めようと軍も応戦し、火の海と化した要塞に飛び込んだドーラとパズーは、ロボットの助けを得てシータを奪還。しかし混乱の中、飛行石はムスカの手に渡ってしまう。
ラピュタの力で世界を制圧するという野望を抱き、ラピュタへと向かうムスカ。彼がラピュタを手に入れたら、大変なことになってしまう。財宝を狙うドーラ一家とともに、パズーとシータもラピュタを目指すことになるのだが…。
2人はラピュタを発見し、ムスカの手から守ることができるのか? 激しい嵐の中を進んで行くパズーとシータが辿りついた先には、新たな冒険が待ち受けていた!



何度でも鑑賞したくなる作品には2種類ある。観る時の心境や立場によって豊かに彩りを変える作品。そして、何度でも初めて観た時と同じ興奮と感動を味わわせてくれる作品。宮崎駿監督による「天空の城ラピュタ」は、数少ないその後者の代表格。天空のどこかに「ラピュタ」と呼ばれる王国が存在する世界に、観る者すべてを一瞬にして連れて行ってくれる魔法のような冒険ファンタジーだ。公開から25年を経てなお輝き続ける珠玉の名作が、劇場公開時のフィルムの質感により近い「ニューマスター」版で新たによみがえる!
シータを守りたい、そしてラピュタを発見したいという純粋な気持ちだけで、数々のピンチに飛び込んで行く主人公のパズー。平穏に暮らしてきた彼が人生最大の決意をして軍の要塞からシータを救出しようとする時の男らしさには惚れぼれするし、それ以降の成長ぶりは圧倒的なカッコよさ。ヒロインのシータも、パズーはもちろん海賊の男たちを虜にする可憐な少女でありながら、芯が強く、真っ直ぐに相手に向かっていく姿が美しい。そんな彼らの母であり姉であり親友である海賊一家のボス・ドーラはパワフルでコミカルで温かいし、彼女の息子たちのお茶目なやり取りも最高! 一方メガネの奥に本性を隠したムスカの悪役ぶりはクールで、次第に本性を露わにする様子はゾクゾクさせられる。ほか、ラピュタから落ちてきたロボットや、パズーが働く鉱山の親方とオカミさん、鉱山の地下で暮らすポムじいさんに、ムスカにいいように使われる国防軍のモウロ将軍、ドーラ一家でメカニックを担当しているハラ・モトロ(通称じっちゃん)などなど。画面狭しと動き回り飛び回る彼らのイキイキとした魅力が、この作品を何度観ても面白いと思わせる最大かつ最高の要因なのだ。