南アフリカ、ヨハネスブルグの上空に、巨大な宇宙船が現れたのは28年前。その宇宙船は攻撃を始めるでもなく、かといって立ち去るわけでもない。しびれを切らした南アフリカ政府は偵察隊を派遣。厳重な装備を身につけて宇宙船に降り立った彼らを待っていたのは、弱り切ったエイリアンの群れだった。宇宙船が故障した様子の彼らを放っておくわけにもいかず、南アフリカ政府は「難民」として彼らを「第9地区」と呼ばれる仮設住宅に住まわせることにした。
言葉も通じないエイリアンの管理を任されたのは、民間企業・MNU(マルチ・ナショナル・ユナイテッド)。しかしMNUはエイリアンの人権にさほど興味を示さず、「第9地区」は次第にスラム化。同じくスラムに住むナイジェリア移民との摩擦も絶えず、また窃盗などの犯罪も横行。その昆虫や甲殻類のような見た目から「エビ」と呼ばれて差別されるようになったエイリアンたちを、これ以上都市部の近くに住まわせておくわけにはいかないと、MNUはエイリアンの強制移住計画を実行に移すことになった。
まるで強制収容所のような新たな住居「第10地区」にエイリアンたちを移住させる計画のリーダーを任されたのは、ヴィカス(シャルト・コプリー)。社長の娘・タニア(ヴァネッサ・ハイウッド)と幸せに暮らす平凡なサラリーマンだ。彼の任務は、「第9地区」のすべての家を訪ねて行って、移住の承認のサインをもらって回ること。真面目なヴィカスにとって、それは危険が伴うものの単純な作業のように思われた。
世界が注目する中、MNUの立ち退き通告作業が始まった。なるべく武器を使わずに事を進めるために、彼らの好物であるキャットフードを餌に、一軒一軒エイリアンの家をノックして歩くヴィカス。しかし彼はある家で謎の黒い液体を浴び、怪力のエイリアンに突き飛ばされて手を負傷してしまう。その後。ヴィカスの身体に異変が現れる。彼を襲う突然の吐き気。爪は剥がれ、鼻から黒い液体が鼻血のようにあふれ出す。同僚の目を避けるように帰宅したヴィカスだったが、突然意識を失い、病院に搬送されることに。
そこで判明したのは、ヴィカスが「エイリアン化」しつつあるという驚くべき事実。社長をはじめとするMNUの上層部は、ヴィカスを実験台として徹底的に研究することを決定する。軍事企業であるMNUは押収したエイリアンの武器を研究していたのだが、武器はエイリアンのDNAを持つ者以外は扱えないようにプログラムされており、仕組みもパワーも解明されていない状態。ヴィカスの力を借りれば、すべての武器の使い方が明らかになり、それはつまりMNU社に大きな「利益」をもたらすはずなのだ。自分が人体実験にさらされると知ったヴィカスは、MNUの研究所を脱走。MNUは総力を挙げてヴィカス捜索に当たることに。
人間社会には隠れる場所がないとヴィカスが逃げ込んだのは第9地区のある家。そこにいたクリストファー・ジョンソン(ジェイソン・コープ)と名乗るエイリアンは、ヴィカスが浴びた黒い液体を開発した張本人だった。高度な科学の知識を持つクリストファーなら、上空に浮かぶ宇宙船を再び動かし、ヴィカスを人間に戻すことができるという。宇宙船を動かす鍵をあの黒い液体が握っていると知ったヴィカスは、クリストファーとともにMNUの研究所に忍び込むのだが…!
ヴィカスは愛する妻に再び会うため、クリストファーは大切な息子と故郷に戻るため。勝ち目のない闘いに身を投じる2人。果たして彼らは、本当に大切なものを守ることができるのか?


舞台は南アフリカの中心都市、ヨハネスブルグ。その上空に突如として巨大な宇宙船が現れた。乗船していたのは、おびただしい数の栄養失調状態のエイリアンたち。政府は仕方なく「難民」として彼らを地上に住まわせることに。それから28年。彼らの居住地区「第9地区」はスラム化していき、住民との衝突も頻発。しかたなく、エイリアンを管理する民間企業・MNUはエイリアンの強制的な立ち退きを決定。社員のヴィカスは現場の責任者を命じられるが、作業中に謎の液体を浴びてしまい…!
まず観る者を圧倒するのは、映像のリアルさ。上空には巨大な宇宙船が浮かび、スラム街を気味の悪いエイリアンが跋扈する。一歩間違えばトンデモないことになってしまいかねない状況を、専門家が事件を振り返るドキュメンタリー番組風の作りで客観的に解説。そしてテレビの中継映像や、タイムコードが入ったままの記録フィルム、監視カメラのデータなどを効果的に織り交ぜながら、物語は少しずつ核心に迫っていく。全編に渡って手ぶれ感を敢えて生かしたザラザラとした映像が印象的だ。また、実際に起こった事件の映像や、ヨハネスブルグの市民が「移民=エイリアン」について語った言葉をそのまま使用するなど、この物語が世界のどこかで起きているのではないかと思わせる仕掛けが随所に施されている。