1920年代、世界恐慌にあえぐイタリア、アドリア海。アジトでのんびりと過ごしている賞金稼ぎ、ポルコ・ロッソ(森山周一郎)のもとに、一本の電話が入った。空賊・マンマユート団が客船を襲撃し、金銭と少女たちを略奪していったというのだ。高額の賞金を約束して現場に向かったポルコは、見事マンマユート団を撃退、少女たちを救出することに成功した。
仕事を終えたポルコが向かった先は、昔馴染みのマダム・ジーナ(加藤登紀子)が経営するホテル・アドリアーノ。そこではポルコに痛い目に遭わされ続けている空賊たちが、アメリカ人の助っ人・カーチス(大塚明夫)を迎えて、次の大仕事の計画を練っていた。カーチスはポルコの姿を見るなり彼に近づき、軽く宣戦布告。ポルコもカーチスの愛艇“カーチスR3C‐O”の痛快な飛びっぷりに、静かな闘志を燃やしていた。
その夜。ジーナのもとには哀しい知らせが届いていた。彼女の3人目の夫が亡くなったというのだ。彼は古くからのポルコの親友であり、第一次大戦ではイタリア空軍でともに戦った戦友でもあった。ポルコはかつて、空軍のエースとして活躍した飛行艇乗りだったのだが、戦争や複雑な人間関係から逃避するように、豚に姿を変えてしまったのだ。
ある日。愛艇のエンジンを修理するためにミラノへ向かおうとしていたポルコを、カーチスが急襲。エンジン故障のせいでカーチスの攻撃を避けることができず、ポルコの愛艇は大破してしまう。ボロボロの愛艇をたずさえてポルコが向かったのは、ミラノのピッコロ(桂三枝)の飛行機工場。しかし、折からの不景気で男たちはピッコロを残して全員出稼ぎに出てしまい、飛行艇の組み立てを担当するのは全員女性。しかも17歳のフィオ(岡村明美)が飛行艇の設計を担当するというのだ。大反対するポルコだったが、フィオが引いた図面を見て考えを改め、彼女にすべてを任せることにする。
女たちによる、飛行艇大改造作戦が始まった。そんな中、国家に背いたかつての英雄がミラノに帰ってきているという情報を掴んだ秘密警察も動き始める。かつての戦友、フェラーリンから危機が迫っていることを教えられたポルコは、急遽出発を決定。それを知ったフィオは、自分の仕事を中途半端に終わらせたくないと、ポルコとともに旅立つことに。彼女の意志の強さに負け、ポルコはフィオとともにアドリア海へと飛び立った。
同じ頃、ジーナに改めてプロポーズしていたカーチスは、彼女が心を寄せる相手を知り愕然。一方、マンマユート団率いる空賊連合たちは、ポルコのアジトに潜入し、彼の帰りを待ち構えていた。ポルコの到着とともにアジトに溢れかえった空賊たちを一喝し、一瞬で彼らを統率してしまったフィオは、カーチスに向かってポルコとの再戦を申し込む。ジーナに恋破れ、次のターゲットをフィオに定めたカーチスは、彼女との結婚を条件にリターンマッチを承諾。マンマユート団のボス(上條恒彦)が仕切る中、あれよあれよという間に、ポルコとカーチスの運命の一騎打ちの日取りが決まってしまった。
そして迎えた決戦当日。フィオの運命を背負って飛ぶことになったポルコとカーチスの戦いの行方は? ジーナの秘められた恋の結末は? そして…ポルコは人間に戻ることができるのか? 今、アドリア海に、決戦のゴングが鳴り響いた!


4月。新しい生活がスタートする季節。金曜ロードSHOW!もフレッシュなナビゲーターを迎えて、よりパワーアップ! 新たに登場するのは“シネマボーイ”こと、加藤清史郎くん。映画のワンシーンに入りこんだ清史郎くんが、様々なスターと夢の競演を果たしながら、スタンリーと一緒に映画の見どころを紹介していく。
そんな中年の男たちを主人公に据えたことで、宮崎駿監督の作品の中では異色作と評されがちだが、実は本作を影で支えているのは宮崎監督が常に描き続けている強く美しいヒロインたちだ。3回結婚して3回未亡人になり、人生の酸いも甘いも知り尽くしたマダム・ジーナ。彼女は妖艶な歌姫として空賊たちを黙らせる威厳を持っているが、その影で少女のようにピュアな恋心を胸に秘め続けている。一方、ポルコの飛行艇の設計を担当し、彼と冒険を共にすることになる少女・フィオは、その快活で物怖じしない性格でポルコや空賊たちを虜にしていく。決して男に頼ることなく、凛として清潔な2人のヒロインの生き様は、ポルコをはじめとするカッコつけた男たちの数百倍、カッコいい。他にも、オープニングでマンマユートが誘拐するスイミングスクールの少女たちのたくましさ、ピッコロの工場で働く“ばあちゃん”たちのパワフルさと、ピッコロの親族たちのつつましい美しさ。実際に女性の作画スタッフをメインに据えて描かれた女たちは、イキイキとした魅力に溢れている。