ある朝。鈴木建設の社長である一之助、通称スーさん(三國連太郎)が出社すると、社長室で設計課の桂(鈴木京香)が待ち受けていた。彼女が設計を手掛けることになっている富山の美術館について、クライアントからありえないような注文がついたのだ。奇想天外なデザインを一方的に押しつけるクライアントの言うなりになりたくないと、桂はスーさんに直訴。美術館の営業担当が営業三課の浜崎伝助、通称ハマちゃん(西田敏行)だと知ったスーさんは、早速「社長命令」を発動。ハマちゃんに事態の収拾を命令する。
奇想天外な美術館のデザインを描いた老舗薬問屋・天狗堂の会長・黒部五郎(丹波哲郎)は、ハマちゃんの釣り仲間。彼の機嫌を損ねると仕事の発注自体がオジャンになりかねないと、デザインの見直しについて黒部に取りなしてくれるようハマちゃんに頼みこむ桂。桂と黒部の間の橋渡しという名目でまんまと富山に出張することになったハマちゃんは、自慢の釣竿を手に意気揚々と天狗堂の黒部のもとへ。
会った早々釣りの腕前をハマちゃんから誉められて上機嫌の黒部だったが、桂が美術館のデザインの話を始めると表情が一変。しかし、そんな黒部を前にしても一歩も引かずに自分の意見を堂々と主張する桂の姿勢と、彼女がプレゼンした美術館のコンセプトの美しさに打たれ、結局黒部は桂に美術館の設計を一任することになる。
一件落着…と、釣りに出かけたハマちゃんだったが、黒部から桂と息子の縁談をセッティングすることを強引に承諾させられ意気消沈。その頃、自分がそんなことに巻き込まれているとは知らずに観光中の桂は、彫刻家の鮎川透(小澤征悦)と運命的な出会いを果たしていた。
東京に帰ってからも、桂に縁談の話を言いだせずに悶々とするハマちゃん。そうこうするうちに美術館のデザインが完成してしまった。とうとうハマちゃんは意を決して桂の自宅を訪ねるが、彼女の父・逸夫(杉浦直樹)から一家の母親代わりとして頑張っている桂の思わぬ素顔を聞かされ、ますます縁談の話を切り出せなくなってしまう。
一方、桂と息子の縁談がトントン拍子に進んでいると信じ込んでいる黒部は、勝手にお見合いから結納、挙式までの日取りを決めて自分の引退後も天狗堂は安泰とほくそ笑んでいた。そんな中、美術館の起工式が執り行われることとなり、その打ち合わせのために黒部の秘書・浅利(岡本信人)が上京してくる。スーさんも同席した打ち合わせの席で浅利が切り出したのは、黒部の息子と桂の縁談の話。桂にとってもスーさんにとっても寝耳に水の話だったが、縁談を断れば美術館のデザイン自体が白紙に戻ってしまう…。ハマちゃんの暴走にあきれたスーさんは、会社の利益は度外視で桂の縁談を断ってくれるよう浅利に懇願するが、それでは自分が切腹させられてしまうと浅利も一歩も引かず、会議は紛糾。途方に暮れて会議室を後にした桂は、たまたま通りかかった店で個展をやっていた透と食事に行き、互いへの恋心を確信する。
そして遂に起工式当日。黒部に首を切られても仕方ない覚悟で富山に向かったハマちゃんとスーさん。しかしそこには、ハマちゃんもスーさんも、黒部さえもが思いもしない結末が待ち受けていた!


全国のサラリーマン(もちろん女性も含む!)のみなさま、お待たせいたしました! 梅雨の季節のジメジメモヤモヤとした空気をスカーっと吹き飛ばす、「釣りバカ」シリーズ第13弾「釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!」の登場です!
巻き込まれ型のヒロイン・桂を爽やかに演じた鈴木京香と、猪突猛進型の黒部を怪演した丹波哲郎が、西田敏行&三國連太郎のコンビと絶妙なハーモニーを醸している。特に、現場で三國相手に「台本は覚えない」と豪語して本木克英監督を仰天させたという丹波が、富山弁をマスターする代わりに編みだした英語を織り交ぜたインチキな方言(?)といったら! 丹波にとっては、時代劇でも思わず英語でセリフを言ってしまうくらい会話に英単語が混ざるのは「普通」のことだそうなのだが…。彼がセリフを話しているだけで、顔の筋肉が緩みっぱなしだ。そして日本を代表する喜劇俳優である西田敏行が、丹波のモノマネや「大霊界」ネタで、丹波節に真っ向から太刀打ち! 2人のシーンは、どこまでが台本でどこからがアドリブなのかわからないほどライブ感満点。ほかにも西田はメスのイカ(?)に扮して「ホタルイカ・ロック」なるパフォーマンスを見せ、全編を笑いで包んでくれる。その一方で、名作「切腹」での共演が印象的な丹波VS三國がクライマックスで見せる「睨みあい」も必見だ。